創業計画書を書く、本当の意味とは がんばれ!みやび君【第4話】

 

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経営者の友人からお金を借りておいたほうが良いと言われ、金融機関に足を運んだみやび君。

 

そもそもお金を借りたほうが良いのかどうかも分からない状況。しかし、経営者では先輩となる友人に言われたことを信じるしかない。みやび君には相談する相手がいないため、友人からのアドバイスはとても貴重なのだ。

 

さて、勇気を出して金融機関にいったものの、「創業計画書」という聞きなれないものを作るように言われたのである。名前からすると創業をするための計画書なんだろうと思うもののどうしたらいいか分からず困り果てている。

 

必要かどうかも分かっていないお金を借りるのに、何故こんな苦労をしないといけないと思うものの、お金の心配が全くないわけでもない。面倒な作業と不安とが心の中を交差して、わけが分からない状態。

 

仕事は真面目にこなすみやび君は、真面目に創業計画と向き合います。

 

 

【第4話】みやび君、創業計画書を描く

 

金融機関の若い男性からもらったA3サイズの1枚の創業計画書。

 

中身をじっくり眺めてみると創業の動機や経営者の略歴の他に商品やサービス内容を記入するところや、そのセールスポイントの記入欄もあった。

 

他には創業に必要な資金を記入する欄がある。私はそれを金融機関に教えて欲しくて聞きに行ったのに?

 

待って待って!必要な資金は私が知りたいよ!

 

さらに困ったことに、事業の見通しで売上がいくらあって経費がいくらになるのかを記入する欄があった。

 

売上なんて、分かるわけないでしょ!

経費は、何が経費になるか分からないのに書けるわけないでしょ!

 

ちょっと待ってくれ。冷静に考えてくれよ。そんな見通しがあったら、相談なんてしに行かないよね。おかしいと思わないか?そんなこと分かるのか?独立する人たちは、皆これが分かっているのか?どうやったら分かるんだ?これを教えてもらうために金融機関に行ったのだけれど、私は何のために金融機関に行ったのだ?

 

自分の分からない答えを知るために金融機関に行ったのに、余計に混乱する。

 

そういえば、若い男性は帰り際に「税理士先生をご紹介しましょうか?」って言ってた。

 

また税理士か。うんざりだ。

 

家でビールを飲みながら、創業計画書を眺めていると妻が「何それ?」と珍しく声をかけてきた。仕事に関しては口出ししてこないはずなのだけれど。

 

一連の流れを説明するも「ふーん。大変ねぇ」といつも通り他人事。

 

「あんたの友達の社長さんに相談したら?」とアドバイスもらったが、妻に言われる前にとっくに相談している。相談しても何にも答えをもらえないからこれ以上聞いても無駄なのだと言っても、言い訳にしか聞こえないだろう。

 

その日は、夜遅くまで、創業計画書の空欄を埋めていった。パソコンはあまり得意な方ではないため、ノートに思いつくままに描いていく。自分が思っていたより、埋めることが出来た。

 

創業計画書を埋めていくだけでも、頭の中がすごくスッキリ整理されるのを感じた。

 

自分のやりたいことや、何が売上になるのかが薄っすらではあるが見えてきている。

 

創業計画書を自分で書く効果について実感した。

 

ただ、必要な資金や、事業の見通しの部分はどうしてもハッキリしたものを出せない。

 

多分

多分

多分

 

多分こうだろう、というものは書けるが、これがどの程度正しいことなのかが分からない。こればっかりは、インターネットで検索しても出てこなかった。これは自分にしかない唯一無二のものなんだと思った。

 

朝眠い目をこすって起き、妻におはようと挨拶すると「税理士の友人に言っておいたから今日電話してもいいよ」と。「あ、そうそう、相談は無料で良いそうよ」と付け加えて妻は娘を起こしにいった。

 

結局、税理士に頼るのか、と歯がゆい気持ちと相談相手がいるという嬉しい気持ちが入り混じっていた。

 

自分に湧き上がる感情を処理するよりも、とにかく電話だ。

 

税理士に連絡し、起業に当たって開業資金をいくら用意すればいいのか、お金はいくら借りればいいのか、今後の見通しはどのように立てればいいのか分からないことを伝えた。

 

税理士の回答は明確だった。

 

私が開業するのに必要な金額を伝えると、不足する部分を指摘してくれた。

 

借入にも目的があり、大きく分けると設備資金と運転資金の2つに分かれるとのこと。私の現状では運転資金が足りない恐れがあると指摘を受けた。

 

そして、妻としっかり話をして生活に必要なお金も把握するよう、アドバイスをもらえた。

 

今後起業するにあたって、妻とのコミュニケーションは大事になりますよ、とも言っていた。あまりにも的確で未来が分かったような答えが返ってくるのを不思議に感じた。

 

次に、税理士に今後の見通しを説明した。

ビジネスモデルを教えてくれ、と難しいことを聞かれたので答えに困窮していると、いくつか分かりやすい質問をしてくれた。

 

・現在決まっている売上先はどこですか?

・それはいくつありますか?

・金額にすると、どのくらいですか?

・売上を上げるために、絶対に必要な材料や道具などありますか?

・それは、売上と比べるとどのくらいの金額になりますか?多いですか?少ないですか?

・一人でやりますか?従業員さんは雇用する予定ですか?

・作業場などはどうされますか?場所は借りることを考えていますか?自宅でやりますか?

 

その他、携帯電話や車、生命保険などについても聞かれた。色々聞かれたが、理解できないことが多すぎて全部覚えていない。

 

質問に答えていくと、

「みやびさん、予定の売上だと、足りないかもしれないです」

 

と、答えが返ってきた。

「え?すごい!」と驚くと同時に腹の立つ言葉をかけられ「何で、お前にそんなこと言われなきゃいけないんだ!」という怒りの感情がわいてきた。

 

余計なお世話だ。私の売上計画に何の問題があると言うんだ!

 

「それを踏まえると、今の借入金額より、200万円ほど増額しておいた方が安全だと思います。悪く見積もっても半年は事業は安定するはずです。その間に売上を上げることを考えていきませんか?売上以外にも見直せることがあると思いますので、一緒に考えていきませんか?」と付け加えられた。

 

あまりにも明確な答えが返ってくるので全て見透かされているようで驚きと同時に恐怖も感じた。

 

「最初から完璧な数字を作らなくても大丈夫です。計画通りいくかどうかは誰にも分かりません。大事なのは社長がこの数字と真剣に向き合っているかどうかだと思います」と最後に言われて電話は終わった。

 

正直な気持ち「お前に言われたくない!」と思うことも多々あったが、電話している間に、頭の中では創業計画書が完成していた。後は紙に書くだけという状態になった。

 

誰かに自分の想いを聞いてもらうだけで、1人で考えていても整理されなかったことが、整理されていく。

 

税理士に話してみて、悩んでいたことが順番に解決されていき気持ちが良かった。自分の考えていたことに自信が持てたし、キツイことも言われたが、前向きになれている自分がいた。

 

自分を理解してくれる税理士と話すということは、こんな価値があるのか。友人の経営者はこれを求めて税理士と契約しているのか。

 

税理士っていいなぁ、と少しは思うが、今、大事なのは私の金!

 

私は、税理士に言われたものより、甘い、自分に甘い計画で書き直し、金融機関から創業融資を受けることになった。

 

がんばれ!みやび君

 

 

創業計画書や事業計画書を描く理由とは

 

創業時に金融機関に出向くと、必ず創業計画書の作成を求められます。

 

突然現れた「初めまして」の人が「お金を貸して下さい」と言ってきて「はい、もちろんです」とはなりません。まず、あなたが何者で過去にどんな実績があり、今後どのようにビジネスを展開する予定なのかを相手は知りたいはずです。

 

創業計画書を描くこと自体はそれほど難しいことではありません。ご興味があれば日本政策公庫のホームページから創業計画書を手にして見て下さい。

 

下記から入手可能です。

https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

 

金融機関がこの創業計画書を書かせる目的は融資の可否の判断に使うためですが、描く側は何のために作成するのでしょう。

 

もちろん、お金を借りるためです。

 

ただ、創業計画書を描くにもそれなりに時間がかかるわけです。この時間を有効に使いたいです。

 

事業を始めると、予算を立てたり、事業計画を立てるする場面が出てきます。予算を立てないと、いくら使っていいのか分からない。事業計画がないと、どこに向かって事業を進めていけばいいのかが分からなくなります。

 

金銭の判断をするときに、予算がないと判断を下すのが難しくなります。

 

会社の方向性を決める決断をするときに、計画がないと決断を間違えてしまいます。

 

もちろん、これらを社長の頭の中だけでやることも多くなります。起業した後、軌道に乗ってくると忙しくてやっている暇がないですから。

 

でもですね、最初のスタート地点ではしっかり決めましょう。

決めたほうがいいです。決めたほうがいいです。決めたほうがいいです。

大事なことなので3回言いました。

 

何故なら、片口雅之が開業する時はノープランで失敗しましたから。ノープランでの開業は既に経験済み。

 

その後、プランを作成し、事業を軌道に乗せることが出来ました。私自身の経験からも、最初は時間をとって深く考えて欲しいと思っています。

 

開業してしまってからは、忙しくなり、じっくり考える時間がなくなります。

 

開業後、仮に暇でしょうがなくなってしまったら、逆にじっくり考えるのが怖くなります。何をやっても上手くいかないと感じてしまうからです。

 

ぼーっとスマホをみて、ネットサーフィンをするのが関の山です。

 

正直な話

創業計画を作るといっても、夢物語の部分もあります。それでもいいじゃないですか。

 

社長である、あなた自身が自分の起業に強い想いを込められるか。

 

それが上手くいかない時に踏ん張るための力になります。創業計画を作成する時にもう一度思い出して下さい。

 

・なぜ起業しようと思ったのか?

・どのような強い動機があったのか?

・起業して成し遂げたいことは何のか?

 

達成したい想いが強ければ強いほど、これから起業し困難と立ち向かう時に、役に立ちます。

 

そして、それを文字に起こして、1年後、2年後に振り返えられるようにすると良いです。

 

創業計画書はお金を借りるため、金融機関のために作成するのが建前ですが、自分のために作って欲しいと私たちは思っています。

 

今の自分ではなく、未来の自分の為です。そして、作りながら沸き起こる感情を日記やノートやメモに書き留めておいてください。

 

事業が行き詰った時に、読み返すのです。きっと大きな力になってくれるでしょう。

 

私自身もノートを書き留めていて、今振り返ると当時の記憶がよみがえってきて、改めて頑張ろう!と思えますし、当時掲げていた目標のいくつかが叶っていることも確認でき、嬉しくなります。

 

お金を借りるためだけではなく、未来にも繋がるような計画を立てたい場合は、ぜひ雅税理士事務所と計画立案時から顧問契約をしてください。

 

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■過去記事

【第0話】がんばれ!みやび君

【第1話】みやび君、起業する!

【第2話】みやび君、税理士に相談する

【第3話】みやび君、お金を借りる

 

■次回記事

【第5話】みやび君、開業する

 


 


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