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創業計画書を無事に仕上げて、創業融資を受けることに成功した、みやび君。
みやび君は自分の作成した創業計画書が認められたと思っているが、実は金融機関の想いは違う。真面目そうに見えるみやび君。でもそれは感覚の問題であり、確信にはならない。「信用」となったのは、みやび君の妻がしてきたコツコツ貯金。ある一定の金額もたまっていた。
とはいえ、融資を受けることが出来たことには変わりない。
その後、税理士のアドバイスを受け、税務署へ行き、開業に関する書類を提出してきた。個人事業主の起業とは簡単なもので紙きれ1枚を提出すれば起業が出来るようになる。
紙切れ1枚を提出した時から、あなたは「社長」になれるのだ。
みやび君は晴れて開業することが出来た。さて、どうなるのか?
税務署に開業の届出書を提出し、無事に個人事業として開業することになった。不安もあるが、どちらかと言えばワクワクしている。金融機関の人からは「社長!頑張りましょう!」と社長と呼ばれて気分もいい。
世の中の社長たちが調子に乗る気持ちが少しだけ分かった気になった。何物でもない私に声をかけてくれる。サラリーマンの時には見たことのない光景だった。
それはそうと、生活のためにお金を稼がなければいけない。
最初にしたことは、勤めていた会社の社長に挨拶に伺った。久しぶりに会った社長は相変わらず太っていた。
社員からは小太君と呼ばれていたが、この社長のすごいところは、それを喜んで受け入れていることだった。これを器が大きいと言えばいいのか、それともただの鈍感な男なのか。
従業員分数の和菓子の入った手土産を渡し、改めてこれまでお世話になったことの御礼を伝えた。退職後も小太君とは良好な関係を築いていた。豪快なわりには面倒見の良い小太君のことを私は大好きだった。
正直な気持ち、この社長の下で一生ついていきたいという思いもあったが、自分の力を試してみたい気持ちもあった。
複雑な思いを未だに抱えてはいたものの
「まわせる仕事があったら、みやび君にお願いするから、よろしく頼むよ!」
と嬉しい言葉を頂いて迷いなんて忘れてしまった。とにかく1件受注が決まりそうだ。幸先が良い。
次に、サラリーマン時代の得意先の会社へ訪問した。この社長は私が担当していた先で、小太君とは違い細身でスタイルが良い社長。スポーツが好きで顔は日焼けで真っ黒。仕事上での日焼けと言うよりゴルフと趣味のサーフィンによるものだそうだ。
目が鋭く一見怖い印象があるが優しい面を持ち合わせていることを知っている。私はこの社長のことを「ゴルゴ」と呼んでいたことはここだけの内緒にしておいて欲しい。
「久しぶりだな!みやび君!事業は順調か?」
私の仕事ぶりはよく知ってくれているため話が弾む。
ゴルゴ社長からは「人手が足りない」との情報を得た。馬鹿正直に「仕事下さい!」と頭を下げて会社を後にした。
その後、数社挨拶周りをしたが、どこも手ごたえがあった。
もしかして、私は営業向き?起業って簡単なの?
起業すると思うように仕事が獲得できないこともあるとインターネット情報にはあったが、これは私には当てはまらないようだ。何せ、私はサラリーマン時代は優秀だったのだから。他の奴とは違う。
1日挨拶周りをして終わった。
家に帰るとどっと疲れが襲ってきて、そのままご飯を食べずに寝てしまった。
朝起きていつも通り朝食を食べ、子供を保育園へ送った後。さぁ、今日の仕事だ。何をしようか・・・。やることがないので自宅でテレビを見ながら休んでいると、小太社長から電話が鳴った。
「さっそく仕事をお願いしたい。いつも通り頼むよ!」仕事の依頼があった。
嬉しいことにサラリーマンの時の単価より高い!すごくないですか!?起業しただけでやる仕事は変わらないのに、もらえる金額が高くなる。嬉しさのあまり、電話を切った後、ガッツポーズをした。起業って素晴らしい。
楽勝だ。仕事を獲得するってこんなに簡単なんだ。
小太君の現場は熟知している。気持ちの余裕もあるし、昔の部下と仕事が出来る喜びもある。とにかく幸先が良い。
自宅にいた妻が「何で同じ仕事なのに金額があがるの?」と質問してきたが、そんなこと知ったこっちゃない。これはリスクを背負った男に与えられた勲章のようなものだ!と鼻息フンフンで答えた。
心配そうな顔をする妻がいるが、その時の私はそれに気が付いていなかった。
翌日から指定のあった現場に向かい、いつも通り仕事をこなす。元々いた会社なので仕事の流れはばっちり理解しているし、部下たちのことも熟知している。小太君ともまた一緒に仕事が出来るし幸せだ。
昼休憩中にスマホの画面を見ると、ゴルゴ社長からの着信履歴があった。すぐに掛けなおすと「みやび君、申し訳ないが、今週の土日なんだが応援お願いできるか?金額はちょっとはずむし、頼むよ」
また仕事の依頼です。次から次へと頼られて嬉しさのあまり踊りだしそうだ。
土日は子供との時間と決めていたが、今回はしょうがない。とにかく仕事をもらえるのは有難いことだ。文句など言えない。
妻を喜ばせたくて自宅に帰り「また仕事がとれたよ!」と報告。喜んでくれたようだが、土日がつぶれると聞いて妻は「ふーん」と冷たい返事。
正直に言おう。土曜日に子供と水族館に行く約束をしていたのを忘れていたのだ。その場は「ごめん」と謝っていたが、罪悪感に押しつぶされないように私の心に家族の存在を感じないようにしていた。
頭の中は仕事のことで一杯になっていた。
がんばれ!みやび君
起業しただけでは、売上はあがらずお金は入ってきません。
商品を販売しなければいけません。
サービスを提供しなければいけません。
起業されるような方は元々仕事が出来る人が多いので、実務に関しては優秀な人が多いです。しかし、優秀だからといって商品が売れるとは限りません。
みやび君は、元々いた職場から仕事を得ています。また元々いた職場の取引先からも仕事を得ることが出来ました。ここまでは簡単です。お互いに顔も知っているし、人間性も分かる。どのように仕事をするのかもお互いにに熟知しています。
仕事を頼む側からすれば、説明する間接コストがかからないため、有難い存在です。
別の見方をすれば、自分のところの職員では間に合わない場合に、都合よく使える存在として便利です。
ニーズはあるでしょう。だから、みやび君は営業力があったから仕事がとれたわけではなく、仕事があるところに飛び込んだということになります。仕事がとれて当然。
この先どうなるのかは、このまま物語が進んでいくと見えてくるでしょう。
さて、話をもどしましょう。
起業した後は、自分の商品を売らない限りお金が入ってきません。
当たり前のことなのに、起業した後、売上を上げる活動に精を出さない起業家もいます。
現場を司る実務家としては優秀で、実務家としての能力は抜群。でも営業マンとしての経験がなく、そこに意識が向かない場合は、鳴かず飛ばずのことも多い。
このような起業家はまずは【自分の商品を知ってもらい】、そして【売る】という行為が必要です。
ただ必要と認識しても出来る人ばかりではありません。認識したとしても行動に移せないのです。大問題ですね。自分を売れなければ次のステージにいけません。
私たちは売り方が分からない人のサポートするのが得意ですので、一緒に駆け上がれたらと思っています。
逆に、もともと営業マンの場合は、売上を上げるのが当たり前ですし、いままでもやってきたことですから、売上を上げることには困らないと思います。
この場合に会社を管理できる能力があるか、もしくは管理できる人が近くにいればスムーズに会社が成長するでしょうが、経営者自身が暴走する場合には別のリスクが存在することになります。
売上があるのにお金がない状態になるのは、このタイプの社長になります。
不思議なものです。
売上もあげられて、会社の管理もできるようなスーパーマンであればいいのですが、そのような人はごく少数です。人間には得手不得手があります。苦手な分野はあります。
得意だからそれだけやる、苦手だからそれはやらない。
シンプルにこういう構造になる必要がありますが、起業家は全てのことに関わる必要がありますから、目を背けるわけにはいけません。
すべてのことに関わりながら、自分以外の誰かの力を借りることにも目を向けるべきです。
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