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前回は初めての請求書を作った、みやび君。
サラリーマンの時は、給料が決まった日に振り込まれてきていたが独立してからは自分自身で請求書を作成し、郵送し、入金があったかの確認をする。
売上金額を確認すると給料をもらっていた時よりも多い。ワクワクする。同じことをしているのに収入が増えるなんて、すごいことだと我ながらに感心してしまう。
やりがいを感じるみやび君だが、家庭に目を向ければ懐いていた娘が懐かなくなっている。それに気が付いているものの、目を背ける。現実と向き合うのが怖い。
人は都合の悪いことから目を背け、自分の都合の良い部分だけを見ようとする。みやび君もまさにその状態にあった。
長時間働いたり、毎日仕事のことだけになると、どこかにひずみが生じるもの。みやび君の場合は家庭にひずみが入り始めているのが分かる。
子供がその合図を出してくれているのが何よりもの証拠。
現実から目を背けるみやび君はどこへ向かうのか?
起業してから初の年末が近づいてきた。年賀状は今までは義務感で出していたが、今年は違う。得意先宛てに1枚1枚手書きで気持ちを込めてメッセージのせる。
この方たちのお陰で、私は生きていける。心の底から感謝した。
年越しを無事終えて、新しい1年がスタートした。仕事も順調にこなし、毎月の売上も安定している。
毎日が充実していて、特に不満はない。
「あなた、確定申告はどうするの?」リビングでくつろいでいると、突然、妻が顔をこちらにむけてきた。
「何かあったのか?」友人の税理士と話す機会があって、確定申告の話になったそうだ。妻の不安を感じる。
「逆にどうすればいいの?」
何も分からない私は、同じ質問を聞き返した。当然、妻からは「私は知らないわよ」とつれない返事。その税理士に相談しようかと思ったが、顧問契約を断った手前、気軽に聞くことは出来ない。
まず、何をすれば? 何から始めれば?
困ったら今はインターネットで調べれば答えが出るから、調べ始めた。
情報収集すると、領収書などを集計して利益の金額を出さなければいけないことは分かった。損益計算書というものを作るらしい。
で?どうやって?損益計算書って何?
さらに調べていくと、売上と経費を集計していくらしい。売上は自分で請求書作っているから分かるけど、経費って何?何が経費になるの?
経費になるものとならないものがあるらしい。それはどうやって判断したらいいの?
売上から経費を引くと、利益が出るらしい。その利益から医療費などを引くと節税になるらしい。生命保険を使った節税もあるらしい。
で?自分の場合はどうしたらいいの?
■領収書を集計すればいいと書いてあるけど、どうやって集計するの?
■日付順に並べればいいの?それとも領収書の相手方別に集計?種類ごと?
■月別に集計?日別に集計?年合計でいいの?
■勘定科目ごとに集計するってあるけど、勘定科目って何があるの?
■勘定科目のルールって何? 交際費って何が交際費になるの?
■飲みにいったものは経費になるの?家で飲むビールは?
調べても調べても自分にとっての明確な答えが得られなかった。
えーーーーい!!!何なんだよ、めんどくせーなーー!!時間を使って調べたのに、結局何も分からず、机を叩きつけた。
突然大きな音がして、娘が泣き始めてしまった。我に返った私は怒ったことを隠すかのように、すぐさま友人に電話した。
「確定申告? お前それも自分でやるの? っていうか、まだ税理士にお願いしていないの?」
ただでさえイライラしているのに、余計にイライラがつのる。いいから聞いた質問に答えろ!
「税理士に毎月資料を提出しているけど、その後は任せっぱなしだからなぁ。正直な話、具体的には何をしているかはよく知らないんだよ。たださ、税金の計算もいつもしてくれているから、支払いの予定も立てられるし、大きな不安はないんだよ。とにかく小難しいことは俺はよく分からないからプロに任せたほうが安心だと思っている。それに創業時から付き合っている税理士だから、うちのこともよく理解してくれるし、本当助かっているよ。あ、そうそう。領収書は必ずとっておけよ」
友人から明確な回答が得られると期待はしていなかったが、その通りだった。税理士について話を聞いて終わった。
領収書をとっておけと言われたけど、領収書は捨ててしまったものがあるなぁ。こういう場合はどうしたらいいんだろう。領収書がないと経費に出来ないんだろうか。
その後もインターネットを通じて、確定申告について調べていた。
個人事業の場合は自分で確定申告が出来るけど、法人の場合は税理士にお願いしたほうがいいということが分かった。個人事業主である自分は自分で確定申告が出来ることが分かった。しかし、具体的にどうしたらいいのか見えてこなかった。
やはり税理士に頼むべきか?
でも、自分で出来ると書いてあるし、自分で出来ることをお金を払ってまで他人にやってもらうことの意味が理解できない。
税理士がプロって言ったって税金の計算するだけだろ。なんで、金を払う計算を金を払ってまでやってもらわないといけないんだ。
電話を切り終わり、一人悶々と考え込んでいると妻が「友人の税理士が言ってたけど、税務署にいってみたら?」
がんばれ!みやび君
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起業すると税金の計算を自分でやる必要があります。それがいわゆる確定申告です。
サラリーマンの時には会社が自分の代わりに税金の計算をしてくれていました。それが年末調整と言われるものです。
書き方がよく分からない書類に、配偶者の収入や子供の名前を書いたり、生命保険料の控除証明書などを提出したと思います。
年末調整は何をしていたのか知っていますか?会社があなたの代わりに税金の計算をしてくれていたのです。
書類の書き方が間違っていても会社側が正しく書き直して、正しく計算してくれていたのです。そして、年末に還付金が渡されていたでしょう。
独立した後は、その計算を自分自身で行う必要があります。
そして給料をもらったいた時よりも、かなり難易度の高い計算をしなければいけません。
専門用語でいえば、給与をもらっていた時は給与所得の計算でしたが、独立した後は事業所得の計算です。
給与所得?事業所得? 何のこと? 何それ?
と感じる人が大半かと思います。給与所得の計算は簡単ですが、事業所得の計算は難しいです。
だから?何? と思うでしょう(笑)給与所得の計算が簡単と言われても・・・。
うーん、そのくらい簡単でしょ。知っているよ。と言える人は、自分で確定申告しましょう。自分でやればいいと思います。
このような人が税理士に頼むときは、自分でやる時間がもったいない、自分の知っている以上のことを知りたい、会社を成長させる意思がある人たちです。
自分で出来るけど、税理士に依頼した方が自分の時間も捻出できるし、未来の成長につながる場合は依頼したほうがいいです。私たちから提案しなくても、なぜ税理士が必要なのかを理解している人たちです。
では、税金何それ?美味しいの?
という人はどうしましょうか。この人たちは自分が素手で戦場に向かっていることを認識する必要があります。まずはそこからです。
今までは会社が守ってくれていました。あなたは与えられた仕事に成果を出せば評価されました。しかし、これからは違います。
守ってくれる人はいません。与えられる仕事もなく、自分で作り出さなければいけません。戦うルールが違います。
会社が防弾チョッキを用意してくれ、銃まで用意してくれ「よーし!いってこい!」と送り出されたサラリーマンとは違い、独立した後は防弾チョッキは自分で作るか買ってくるか、銃も自分で作るか買ってこなければいけません。
そして、どういう防弾チョッキなら自分に合っているのか、どういう銃なら自分の力が発揮されるのかも自分で決めなければいけません。
ゼロから全てを作り上げる必要があります。
税理士を顧問につけないということは、防弾チョッキを全く身に着けず、素手で戦場に行く戦士と同じです。勝てるわけがありません。
ただ、ここで一つ事を難しくさせる問題があります。
防弾チョッキを着ずに素手で戦っても勝てる方法もあるんです。傷ついて倒れている人たちだけを狙っていけば勝てます。
ただ、勝てているように感じているのは本人だけで、たいして儲からないですね。勝ったフリをしている、というのが正しい表現かもしれません。このような個人事業主は多いかもしれません。本気で戦っていくためには、それなりの準備や仲間は必要です。
起業した人の多くは税理士を顧問につけます。それは起業してからすぐに最高級の防弾チョッキを手に入れるためです。壊れた防弾チョッキはいつでも交換可能です。これで負ける可能性が減ります。そして、次はどういう銃を使って戦いに挑めばいいのかのプランを立てやすくなります。
だから、成長が早く、かつ安定してビジネスを成長させる起業家には必ずと言っていいほど、税理士を顧問につけているはずです。そして税理士の言うことをないがしろにせず、ビジネスの参考にしています。
でも、分かりますよ。お金がもったいない。まだ稼いでいないのに、税理士に金払うなんて馬鹿らしい。私もほどんどお金がない状態で起業していますから、気持ちはよく分かります。
そういう人はまずは自分でやってみるというのは有りだと思います。やってみないと分かりませんから。
ただ、確かなことはお金を使って時間を買えば成長スピードは速くなります。空いた時間を売上を上げることに全振りすると、ビジネスの立ち上がりが早くなります。雅税理士事務所もそうでした。
それを決めるのは独立した経営者自身です。
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