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改めて営業活動に出たみやび君。
仕事は簡単に獲得できると思っていたものの実際に行動に移してみると、予想に反して仕事が獲得できなかった。誰も自分を求めてくれない。話すら聞いてくれない。
しかし、今後の支払いのことを考えると、是が非でも売上を上げ現金を獲得しなければいけない。
そこで、みやび君がとった策は、受注内容のハードルを下げ、来たものは何でも受けるという姿勢だった。これが功を奏したのか仕事は次から次へと舞い込んできた。
仕事が舞い込むたびに心が廃れていくのを感じる。仕事の増加と心の安定は反比例するかのように、加速度的に進んでいく。
やらなければいけない。もっと頑張らなければいけない。その先にあるのは?
1年目に比べて格段に仕事が増えた。1人で現場仕事もこなし、合間には営業活動に精を出す。
頑張っている自分がいた。これまでの人生で、ここまで働いたことはないくらいに働いている。
家に帰れば、請求書の作成や見積書の作成に追われる。帰っても休まるどころか、仕事漬け。
土日も現場仕事が入っていたり、寝不足のままゴルフに出かけたり。
たまに早く帰れる日は、得意先の社長と飲みに行く。
ザ・社長!という生き方をしていると思った。
最初は大変だと思っていたことも、当たり前になっていった。
どんな仕事であろうと、やればお金が入ってきた。やればやるほどお金が入ってくる。2日酔いでもなんとか仕事は出来るし、仕事をしているうちに元気になる。疲れていても、仕事を始めると元気になれた。仕事が栄養ドリンク。
税金の工面もできそうだし、何とか上手くやれている。仕事をやっていれば嫌なことは考えなくて済むし、時間を忘れることが出来る。不安は少しずつ消えていった。
そんなある日。
いつも通り、夜遅くに仕事を終え家に帰った。いつものことだが、娘は寝ている。
冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを取り出し、グラスに注ぐ前に一気に喉に流し込む。これが毎日の習慣になっていた。
キッチンにいる妻に「つまみをお願い!」と声をかけるも返事がない。「おーい!」と声をかけるもこちらに向こうともしない。ちょっとしたことでキレるようになっていた私の沸点は低い。
「おい!聞いてんのか!」と怒鳴ると、妻がうつむき加減で私の方へやってきた。「あなた先週の約束覚えてる?」
淡々と話す妻。怒っているでもなく凍ったような冷たい表情だった。
「何だったけ?こっちは疲れてんだから、後にしてくれ!」
イライラしている私に話を聞く余裕などない。
妻は手元にある缶ビールをテーブルに叩きつけた。大きな音が静かなリビングに鳴り響いた。幸い寝ている娘は起きずにスヤスヤ眠っている。
「先週は娘の誕生日だったのよ、あなた遊園地に連れてってあげるって約束してたじゃない!」
妻の声も大きくなる。
「仕方ないだろ!いつもお世話になっている小太君からの急な仕事の依頼だったんだよ。断れると思うのか!」
私も負けない。負けたくない。
妻は両手でテーブルを叩きつけて言った。
「あなた、家族を幸せにする為に起業するって言ったよね。私たち全然幸せじゃない。あなたは毎日毎日仕事ばっかり。子供と最後に遊んだのいつか覚えてるの?約束はほとんど破るし、たまにできた休みも飲みにいくかゴルフに行くでしょ。家に残されている私たちの気持ちを考えたことがあるの?」
「俺はお前たちのためにやってんだよ…」正論をつかれた私は返す言葉が見つからなかった。
言い終えないうちに妻がリビングの扉を激しく締め、外に出て行った。
何が起きたのか理解できないくらい一瞬の出来事だった。私と娘が残された家の中では物音は何もしない。静かな空間だった。
私は娘が食べ残したと思われるおかずを電子レンジで温めた。静かな部屋に電子レンジの音だけが鳴っていた。
食事を済ませ、娘の寝ている布団で一緒に横になる。何も知らない娘は幸せそうな顔で寝ている。「誕生日忘れていて、ごめん」と頭をなでているうちに私は眠りについた。
その夜、妻は帰ってこなかった。
朝いつも通りに目が覚める。体が重く、起き上がるが辛い。娘はまだ寝ている。今日は朝から現場仕事が入っている。子供を保育園に送っていかなければいけない。朝ごはんはどうしたらいいのか?保育園には何をもっていけば良いのか。何も分からない。
いつもは妻が早く起きて、ご飯の準備、保育園の支度をしてから、私と娘を起こしてくれる。私がするのは娘と一緒に朝食を食べることくらい。
私は今何をしなければいけないのか?
とにかくご飯を食べさせなければいけない。キッチンにおいてある食パンをトースターにいれ焼いた。冷蔵庫の中から残り少ない牛乳を見つけコップに入れ朝食の準備ができてから、娘を起こしにいった。
寝ぼけている娘は、あたりを見まわし、いつもと違う様子をくみ取っているようだった。「ママは?ママどこ?」
がんばれ!みやび君!
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など
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起業すると、今までやらなくて良かったことを全て自分一人でやる必要があります。
慣れないこと、分からないこと、時間のかかること、苦手なこと、やりたくないこと。どんなことも自分でやる必要があります。
営業もして、現場もこなして、事務作業もして、起きること全てを自分がやります。
考えなくても分かることですが、時間はありません。時間は常に足りません。仕事がない時は、時間を持て余しますが、仕事が増えてくると、もうどうしようもないくらいに忙しくなり、全てのことが中途半端になってきます。
時間を捻出するために
■遅くまで仕事をする
■早く起きて仕事をする
■作業スピードを上げる
■家族に手伝ってもらう
■アルバイトに手伝ってもらう
色々試しますが、恐らくどれも大した効果はないでしょう。根本的な解決にはならないですが、それが普通のことです。
さて、忙しくなり、今までの数倍の馬力で仕事をします。どんなに仕事を片付けても、新しい仕事や問題がわいてでてきます。お金につながらない仕事も多くなります。
どんどん馬力をあげていきます。
そうするとですね、仕事じゃないところにも変化が起きてきたりするんです。分かりやすいのが家族。
一番近いところにいる人たちだから変化には敏感です。今までの生き方と変わったことに家族がついていけません。理解が出来ません。頭で理解したつもりになっても感情がついてきません。
人間とは複雑なもので、応援しているつもりであっても、腹が立ったりするものです。
少し極端な表現になりますが、仕事を増やすのは、それほど難しいことではないと思います。儲かるかどうかはまた別問題ですが、仕事を増やすだけなら簡単だと思います。
しかし、安心できる人間関係を築くには、日々の積み重ねが欠かせません。そして人間関係は一瞬で崩れます。
起業した後に
■家族と疎遠になった
■友人と疎遠になった
■恋人と疎遠になった
このような人が周りにいるかもしれません。
また、離婚した人もいるでしょう。会社経営をしているからこそ、一家離散になった人もいるかもしれません。
会社と家族は共存できるのか。これは会社経営者の永遠の課題ではないでしょうか。
少なくとも、共存を目指すのであれば、全てを自分で行うという考え方は辞めたほうがいいかと思います。
起業すれば、あれもこれも全て自分でやることになるのは間違いないのですが、誰かに任せられることは任せるべきですし、システムやITでやれるものはやった方が良いと思います。もちろん、どういう選択肢を採用しようがコストはかかります。
自分でやれば無料です。全てタダです。
ただ、時間を消費します。お金は後で増やすことが出来ますが、時間は増やすことが出来ません。これは紛れもない真実です。
そして何でも自分でやろうとする人は、幸せは人が運んでくれるということに気が付いていません。何でも自分でやることで、お金を自分のところに留めておくことは出来ますが、お金は流れていないと新しい出会いや気づきを得られなくなります。
ビジネスはお金という道具を通じて、人と人がつながり、協力し合って、互いのビジネスを高めていくもの。
その道具を使おうとせず、自分のところにだけとどめておこうとすることが、いかに時間を無駄にしているかに早く気が付いたほういいです。
別の見方をすれば、自分では出来ないことであっても、無理やり時間を浪費することでしか対処できない程度のビジネスをしているということです。まずは自分でやりたくないことを他人に任せることが出来るビジネスを構築するところから始めたいです。
誰かに任せて生まれた時間を使って、それ以上に稼ぐことが出来るビジネスを作ることです。どんどん任せることで、新しいことが出来るようになります。
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