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単価を上げる方法を模索していたみやび君。小太り君に相談すると、解決方法が見えそうな予感がした。
料金を上げようと思うと「注文してくれなくなるかもしれない」「他の同業に仕事を奪われるかもしれない」「人間関係が壊れるかもしれない」など、空想上の不安が頭をよぎります。
一つ言える確かなことは、料金が高くてもいいから、ちゃんとした商品・サービスを購入したいと思っている人達がいること。
みやび君は、この人たちに出会っていけるでしょうか。続きをみていきましょう。
友人や小太り君の助言もあり、単価を上げる方向性が見えてきたみやび君。しかし、実際どれくらいの単価に設定すればいいのか皆目見当がつかない。
それでも、現状が一歩前進したことが嬉しくて、相談も兼ねて妻に話した。妻は私の経営相談の相手になっていた。
「よく分からないけど、いい方向に進んでいるみたいね。でも、あなたの仕事に値段をつけるのは難しいわね。キャベツとかだったら、いつもスーパーに行ってるから何となく単価がわかるけど」
「そうだよな。今までは言われた単価とか、前の人のやっていた金額と同じような金額で請求してたけど、いざ自分で単価を決めると言われると難しくて。もう失敗もしたくないし…」
「やっぱり専門家に聞くのが一番じゃないの?また私の友達の税理士さんに頼もうか?」何回も相談にのってもらって悪い気もしたが、今回ばかりは自分の力だけで何とかできない。
自分で調べて解決も出来るだろうが、それがいつになるのか見通しが立たない。1日も早く前に進みたい気持ちが強く、ヒントだけでも良い、何でもいいから前に進める何かが欲しい。どう思われようが、結果を出したい気持ちが以前に比べて強くなっているのを感じていた。
「わかった。じゃあ頼んでみるね」
後日、税理士と面談することになった。何度も相談に乗ってもらっているが、いつも無料だった。妻が友人という理由もあるのか。
今、自分の単価を上げようと悩んでいる。だが私の相談に無料でのってくれる税理士は私に使う時間の分、時間単価が下がることになる。
前はそれに何も思わなかったが、今回は税理士に対して申し訳ない気持ちが強い。時間を作ってくれ、無料で相談にのってくれているのに、私は今まで失礼なことをしていたことに気が付いた。
税理士の事務所に出向き自分で作成した売上や経費の一覧を見せた。
税理士からは現在の状況や家庭にかかる生活費などいくつかの質問を受けた。上手くいっていない状況を説明するのは前は恥ずかしかったが、今は「何とかしたい」という気持ちの方がが強く、正直に全てを答えた。いや、答えることが出来た、という感覚のほうが近いかもしれない。
税理士は目線を下にやり、電卓をたたき始めた。電卓を叩くスピードが速い(笑)
時々、うんうん、と頷き、しばらく考えている様子だ。考えがまとまったのか顔を上げ話始めた。
「結論から言いますと、1日当たり○○○円くらいはないと厳しい状況だと思います」
!!
たったこれだけの情報で答えを導き出してきたことに、衝撃を受けた。
何日も悩んで、誰に相談しても導き出せなかった明確な答え。私が欲しかった答え。たった、数分で手に入れることができた。でも、どうしてわかるのだろうか。
「数字がどこまで正しいかは正直わかりませんが、今の情報ですとこれくらいかと」
私が驚いて、言葉に詰まっているのを察して、税理士は話続けた。
「ちなみに、これは月22日現場に出る前提での最低金額です。みやびさんの場合はご自身で総務や経理の仕事もしなければいけない状況かと思いますので、もっと高めに設定しても良いかもしれませんね。現場の仕事もして、事務作業もして、営業活動もしなければいけませんから。身体的な負担に加え、精神的な負担は相当のものかと思います」
私の状況が見透かされているようだった。目を丸くして、税理士の目を見ながら「1日いくら稼げばいいかなんて、考えたことなかった」と独り言。税理士は続けた。
「確かに、考えている人ばかりいるわけではないです。でも、逆に成長する経営者さんは皆さん考えています。みやびさんはどんな経営者になりたいんですか?どんな思いを持って独立されたのですか?」
そこからみやび君は税理士に自分のこれまでについて話した。
正直あまり考えず起業した事、自分よりだいぶ前にすすんでいる友人がいて負けたくないと思っていること、妻と大喧嘩したこと、欲を言えばベンツに乗りたいと思っていることなど。
そして、したいことははっきりしてきたが、それを具体的にどのように進めていけばいいのか分からない不安も伝えた。
「私はみやびさんみたいな方の為に我々税理士がいると思っています。確定申告に関しては自分で作ることは可能かと思います。ただ、確定申告で作成した数字を意味あるものにして、経営者をサポートするのが税理士だと思っています」
前はこんなこと言われたら、「営業してんじゃねーよ」と思ったものだが、今は心に染み渡る言葉だ。確定申告は払いたくない税金を払うために、無駄な時間を使って意味のないことをやらなければいけないものだと思っていた。
「前回確定申告を自分でした時、確かに大変でした。でも、正直自分で出来ることをお金を払ってやってもらうのがもったいないと思っていました。今の自分にとってこのようなサポートを受けたいと思っています。是非今後もお付き合いをお願いしたいと思います」
友人が税理士を頼りにしていたのがやっと分かった気がする。悩むたびに、インターネットで調べたり友人に聞いたりしてきたが、確信となる答えは見つからなかった。逆に多くの情報だけが増えてきて、混乱する一方だった。また、妻に相談すれば頭の中が整理されて、前向きになれたが、具体的に何をどうしたらいいのか、までを導き出すことが出来なかった。
しかし、税理士の言葉は力強く、また、自分だけのために投げかけられた言葉のように感じた。税理士の言葉を一つの指標にして、進んでいけば上手くいくかもしれない。
そうは言えど、現実問題、お金が苦しい状況で、正直顧問料の支払は厳しいかもしれない。それでも、今まで手探りで経営してきたが税理士というパートナーが出来ることが頼りに感じたし、税理士にも恩返し出来るように稼ぎたいと思った。自分の家族だけではなく、他人のために頑張ろう!と心の底から沸き上がった。今まで味わったことのない不思議な感覚だった。
「自分何も知らないですが、これからもよろしくお願いします」
私が深く頭を下げると、隣にいた妻も頭を下げていた。
「こちらこそお願いします。全力でサポートさせて下さい」
そういってみやび君は税理士事務所を後にした。
がんばれ!みやび君
確定申告書を作成するのは、起業した人にとっては、とても面倒な作業です。
税金を払うために、自分で計算しなければならない。理不尽だと思った人も多いでしょう。
税理士にお金を払って、払いたくない税金の計算してもらって、税金を払う。ここにどんな意味があるのか。金を払うのに金を払う。理不尽だと思う人もいるでしょう。
税理士自身も難しい税金の計算に時間をかけることに、意味はあるのか?と疑問に思うこともあります。
しかしながら、そのように考えていても、ビジネスが良くなるわけではありません。義務でやらなければいけないことに、意味を見出し、そしてそれをビジネスに活用する。
最初は確定申告をすることに意味を見出せなかった人たちが、ビジネスが拡大・発展する過程で、確定申告によって得られる数字を活用し始めます。
それほど数字というものは説得力があるものです。逆に言えば、確定申告に意味を見出せない人は、その程度のビジネスしかしていないとも言えます。
起業と確定申告の関係を、フェーズごとにみていきます。
1.起業当初
確定申告どうやってやるの?やらなきゃいけないの?
2.利益が出始めるころ
何故、こんなに税金を払わなきゃいけないんだ!(怒)
3.税理士に頼み始めたころ
税理士に頼むと楽だけど、高い税金は払いたくない!(怒)
4.ビジネスが成長してきたけど、余裕はない
高い税金は払いたくない(諦)
5.ビジネスが成長し生活に余裕が出てきたころ
税金を払えば現金増える。今後どのような経営をしていこうか?
おおよそ、このようなフェーズになります。
1~4を一気に飛ばして、いきなり5に行く人もいれば、いつまでも1~4にとどまる人もいます。5のフェーズまで行くことが出来れば、確定申告の意味が変わってきます。
もちろん、税金を払うことの痛みはありますが、前向きに考えられるようになってきます。これは生活に困らないくらい稼ぐことができ、税金を払っても現預金が増加することが実感できるときです。
これは、売上が大きければいいとか利益が大きければいいとかの問題ではりません。
売上が大きくなれば会社は良くなるとか、利益を出せれば会社は良くなる、給料が高くなれば良くなると考える人もいますが、それは手段であり目的は別にあるはずです。
生活スタイルは人それぞれですから、自分の生活に合わせてどのようなビジネスプランを組み立てればいいのかの話です。
もちろん起業家自身だけの問題ではなくスタッフを採用すれば、スタッフの人生も関わってきます。
例えば、現在の雅税理士事務所は子育て中のスタッフが多いです。仕事も大事ですが、家庭や子供はもっと大事になります。常に子供を犠牲にしたビジネスプランを組み立てて「仕事を頑張れ」と言っても頑張りたい気持ちにはなりません。
大事にすべきは働く人たちの家庭。まずここは優先順位が高くなります。ここを捨ててビジネスプランを立ててしまうと、良いサービスを提供し続けるのは難しくなります。
起業した人は5の位置までは一日も早く駆け上がりたいはずです。1→5の過程を通っていく中で、確定申告を避けることは出来ません。
これは道徳の問題ではなく、日本でビジネスを行う上でのルールの問題です。
1日でも早く確定申告など自分でやらなくてもいいことに時間を使わずに売上をあげ利益の出る会社を作っていくことに時間を割くべきです。そしてそのビジネスを安定させるためには数字の管理はかかせません。どんぶり勘定でビジネスが安定すると思いますか?
簡単なことなのですが、やらない人が多い。
自分の能力で稼げる仕組みを作って、稼げるだけ稼いで、数字の力を使って安定させる。5にたどり着く人は、必ずと言っていいほど通っている道です。
というわけで、確定申告は自分でやらずに誰かに任せてしまえ!ということです。客観的に数字を見てもらい意見を求めましょう。自分が見ている自分とは違ったものが見えます。
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