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経営方針を決め、改めて営業活動を始めたみやび君。
何でもやる!という営業では、自分を知ってもらう必要などなかった。何故なら他人より安く多く働けば仕事が受注できたからだ。それはみやび君でなくてもいい。誰でも出来ることだった。
次から行う営業活動は自分自身を知ってもらい、自分の能力を買ってもらわなければいけない。
「仕事を下さい」だけでは仕事は得られない予感がしていた。しかし、意外にも簡単に受注できてしまった。
どうしてそうなったのか、どうしてすんなりと受注出来てしまったのか、この時のみやび君は知る由もない。
でも、自分の中に芽生えた営業の感覚は身につきつつあることは感じている。
試行錯誤を繰り返すと自分の理想とするような受注が増え、新しい課題も見えてくる。仕事が増えれば、全てが解決するわけではないことは、既に体験しているが、今度は上手に乗り越えていきたいと思っている。
次の課題はなんだろうか?
家庭崩壊の危機からどのくらいの年月が経っただろうか。
忙しい日々は変わりないが、少し自分自身に余裕が出てきて、自分について考えることが出来るようになってきた。
自分の時間について考えていた。仕事の時間、家庭での時間、それ以外の時間は殆どなかった。
紹介営業を始めてから、時々紹介をもらい、新しい仕事を得ていた。そして売上の単価を見直し、新しい営業スタイルも確立しそうな予感があった。
起業した当初とは全く違う仕事の取り方だった。
妻ともいっぱい話し合ったし、税理士とも契約した。余る程ではないものの、お金も十分に回っていると感じている。
今の自分は、これまでないくらいに順調だと感じている。
そんなある12月。年末に向け慌ただしい毎日が続いている日のこと。
「みやびさん、今少しだけ電話する時間ありますか?」
税理士からの電話だ。私の売上や利益を把握してくれている税理士の存在は有難い。私には、その数字に意味など見いだせないし、数字から未来を予測する能力もない。
「大丈夫ですよ!」税理士からの連絡は重要だ。どんなヒントが隠れているか分からない。
「ありがとうございます。みやびさん最近どうですか?」
「おかげさまで。何とかやれてます。」最初の挨拶を済ませ、今からの話題が本番だ。税理士との会話は、いつもこうだ。
「数字を見る限りでは、半年前から比べるとめちゃくちゃよくなってますよ!」つい笑みがこぼれる。他の人から褒められるとうれしいものだ。
「それでご報告があって電話させて頂いたんですが、うちの事務所から送っている書類は目を通されてますか?」
「すっ、すいません。何となくは見ているんですが、正直よくわからなくて…」売上や利益は見ているし、納税額の報告もあるから目を通すようにはしているが、それが何を意味しているのかまでは分からない。
「はははっ。みんなそう言います。分かりやすくしているつもりなんですが、努力不足ですね」
「そんなことないですよ」私にはもったいないくらいの報告をしてくれているので、満足はしている。
「では、単刀直入に言うと、来年みやびさん資金的にちょっと苦労する可能性があります」
「!!えっ、何でですか?俺結構がんばっているつもりなんですが…」こういうのが税理士の怖いところであり、頼りになるところだ。
急に税理士から発せられた言葉に手が震える。上手く回っていたはずなのに…俺はどこかで間違えたんだろうか?同じ過ちは繰り返さないためにも頑張ってきた。これまでを頭の中で高速で振り返るが思い当たることは何もない。
「問題ないですよ。むしろ最初にいった通り、事業の内容としてはすごくよくなってますし、利益もかなり出ているようです。ですが…」
「ですが…?」
「詳しく説明しようと思ったら、資料をみてもらうしかないんですが、簡単に言うと利益の流れとお金の流れは違うということです」
「はぁ?」税理士の言うことは、いつも難しい。自分の持っているものとは別次元の何かを与えようとしてくる。
「例えば今月の売上っていうと請求書を出した分ですよね。それが入金になるのは1ヶ月後か、もっと先になりますよね?」
「そうですね。俺ときどき請求書出し忘れる時もあるし、もっと遅いかも。手形でもらったりすると4ヶ月ぐらい入金ないですよね」
「そうですよね。それに対して支払はどうですか?みやびさんかなり早く払ってないですか?」
「そうですね。俺一人でやってるもんで、ときどき応援頼むんですけど、頼んだ時はなるべく早く払うようにしています。だってその方が気持ちいいでしょ」何か問題なのか?とピンとくるものがない。上手くいっているように感じる。
「ですよね。利益を計算するうえでは、売上は仕事が完了した時ですし、経費は手伝ってもらったときで、みやびさんの忙しいとか、上手くいっているという感覚と一致する感じです。対してお金の流れについては、さっきみやびさんがおっしゃったようにケースバイケースですが、利益とは一致しません。」
「なるほど」利益とキャッシュフローが合わないということはインターネットでも教えてもらったが、自分に置き換えると分かりやすいな。
早く払うことは良いことだと思っていた。自分の気前の良さ、相手を思いやっているという行為が実は自分の首を絞めているということになるのか?
「このように、事業はうまくいっていたとしても、会社から出ていっているお金のことを運転資金と言ったりします。事業が成長している時は、この運転資金が多くなる傾向にあります」
「なんとなくしかわかりませんが、俺に問題がないってことですかね?」問題の本質が見えてきそうで見えてこない。
「全くとは言いませんが…概ね問題なしです。つまり、事業が上手くいってるからこそ出てくる問題ということですね」
「そうなんですね」上手くいっているのか上手くいっていないのか分からない。
「もっと言うと、今年は昨年以上に利益が出ているので、約半年後ですが、所得税等の支払も準備する必要があることと、来年で3年目ですので、消費税についても考える必要がありますね」
「先生。俺めっちゃ心配になってきたんですけど。大丈夫ですかね?」税理士と話していると、恐怖が増してくる。それでも税理士というのは自分が見えていないところの未来を予測し、最悪のことを想定しながらアドバイスをくれる有難い存在だ。
「しっかり対策すれば大丈夫ですよ。銀行からの追加融資も検討した方がいいかもしれないですね」
「えっ、また借りるんですか?大丈夫ですかね?」
「運転資金の増加による借入なんで、問題ないと思いますよ。みやびさんの場合、思ったより成長が早いので、事業としてお金を貯める時間がなかったというだけなので」
「そうなんですか。ちなみにサポートをお願いしてもいいですか?」
「もちろんです。今度時間のある時に事務所に来てください。一度打合せしましょう。その時に資金繰りについても簡単に説明しますね」
「助かります。俺は先生に教えてもらえるからいいけど、資金繰りのことって他の社長も理解してるんですかね?」
「理解している方ももちろんいますよ。ですが、ここについては経験とかの差もあるので、みんなが理解できているとは言い難いです。まあ、だから僕ら税理士がフォローするんですが。みやびさんの場合は、今は本業優先でOKですよ」
「頼りにしてます。では、また改めてご連絡しますね」自分が見えている世界とは全く別のものを見せてくれる税理士は有難い。多くの経営者はこのようなアドバイスをもらいながら、自分の会社を見つめ、起きた問題に対処していっているのだろう。
一難去ってまた一難。
経営者というのは、どうやら休める時間はないようだ。でも、税理士と契約していて良かった。
正直税理士の価値は実感しにくいと思うこともあるが、自分の状況を客観的に理解してくれる人がいるのは助かる。
今なら友達の経営者が税理士に任せているから大丈夫という言葉の意味もわかる。俺は今は本業に集中するだけでOK。その答えが分かっただけでも安心して前に進める。
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営業が上手く回り始めて仕事は増えてくる。中には想像以上に受注出来る場合もある。
次から次へとくる仕事をテキパキと片付けていく。とても順調そうで何よりなのですが、受注単価があがってくるとお金が不足するというジレンマが生じます。
どういうことか説明します。今まで100の売上に対して仕入や外注費が50だったとする。突然300の受注が出来た場合、仕入や外注費も150に増加。
お金が全て同時に動けば何ら問題はありませんが、売上は2か月後に入金があるのに支払いは1か月後となると、現金が不足してきます。簡単な流れは下記の通り。
ビジネスは上手くいっていても、3.で現金が不足することが生じます。いわゆる運転資金が不足するのです。
この流れだけを切り取れば簡単に対策はとれそうですが、リアルはこの中に所得税の支払い、所得税の予定納税の支払い、後払いの住民税、事業税の支払い、健康保険料の支払いがあり、計画を立てるのが難しくなります。ここに消費税なんて入ってこようものなら、資金繰りは困難を極めます。
難しく複雑な計算をして詳細な答えを出せたとしても、家族が突然入院して、急遽まとまったお金が必要となったなど予測不可能なことも起きる。
経営者が計画を立てるときは、あらゆることを想定しつつ、資金繰りを行う必要があります。
だから、使わないくらいの現金を事前に用意しておくと良いのです。だから、多くの経営者が起業時に金融機関から借り入れを行うのです。
現金があれば出来たのに、現金がなかったために出来ないことも多い。税理士はいつも手元現金を厚くした方が良いというのは、このような理由からです。
さらに、突っ込んで考えてみましょう。
3.で現金残高が△50になるのが分かってから、お金を借りよう!と思ってもすぐに借りられるわけではない。金融機関も「あなたは誰ですか?」からスタートするわけですから、融資実行までには時間を要します。
借りるためには電話1本すれば「はい100万円融資します!」と言われるわけではなく、書類を作成し提出しなければいけないし、担当者との面談もある。お金が不足する緊急時に、売上につながるわけではない間接的な仕事に忙殺されることになる。仕事に集中できなくなり、売上が維持できなくなったら、最悪。
また借入出来るまで待っていたら、支払いが出来ずに外注先からクレームが来ることだって考えられます。支払いが遅れることで気分は落ち着かないし、いつ入金があるかハラハラした毎日を過ごします。そうしていると外注先と良好な関係が築けなくなり、仕事を上手く回せないとなると、さらに状況は悪化します。
では、簡単に借りれるところから借りよう、と思うと、そういうところは審査が少ない分、金利が高くなります。汗水流して稼いだお金を本来は払う必要のなかった金利の支払いに充てると、いつまで経ってもお金はたまらず状況を打破できない。
つまり、現金が不足すると良いことなんてありません。だから、手元現金を用意しておく必要があります。これは起業時に行うべきですし、現金に余裕があり仕事に余裕がある時に行うべきです。事前に金融機関から借りておけば「あなたは誰ですか?」のスタートではありませんし、確定申告をしっかりしていれば、あなたがどういう存在かを金融機関に客観的に示す根拠となります。
税理士が顧問についていて試算表が定期的に作成されていることが分かると、金融機関側も安心できます。これは理解されない人もいるようですが、自分が貸す側の立場に立ってください。お金を貸した後は返してもらわなければいけない。
返してもらうときに、自分のビジネスの状況を数値で正確に示してくれる人と、どんぶり勘定の人の2種類の人間がいた場合、どちらに貸したいですか?
前者の人ですよね。
簡単な話なのですが、現実世界になると帳簿をつけるのは面倒、会計は面倒、できれば避けたい、後回しにしたい気持ちが働き、試算表を作成することを怠る人がいます。
さらに言えば、いくら借りる必要があるかを検討するために税理士が存在するのです。多くの経営者の財布事情を見ている税理士であれば、頼りにならないわけがない。
売上が入金される見込み、仕入や外注費の状況、固定費や生活費、さらには税金や社会保険料を加味して、資金繰りを考えられる人は、そう多くありません。
自称「お金の専門家」はたくさんいますが、毎日、多くの経営者の財布を覗いているのは税理士や会計士だけかと思います。毎日リアルなお金の流れを見ていれば、理論や理屈だけで考えられないことが多いことも知っています。
お金には妬みや僻みや、喜びや感謝など様々な感情の側面を持ち合わせながら捉える必要があります。税理士は顧問料という形でお金を頂いていますから、不必要な商品を売る必要もなく客観的に顧問先のことを見ることが出来る。だから、相談相手として税理士を選ぶ人が多いのです。
時々、税理士は過去のお金の流れを見ているだけだから未来のことは分からないなどと言うことも聞きます。もちろんそういった側面はあるでしょうが、正確に現状をとらえられるという意味では税理士は有効です。
利益が出ているのに税金が払えない人。儲かっているはずなのに支払いが困窮している。
そのような方は1日も早く税理士にご相談下さい。
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