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山崎社長からのクレームを受けて、島田君と話し合ったが島田君に変わった様子はない。
これまでクレームを受けたことがないから、どうのように対処していいのか分からない、みやび君。
クレームは会社を変化させるための良いきっかけになる。山崎社長は相手のことを思いクレームをいれているのは間違いない。
みやび君に変わって欲しいと思っているし、良くなって欲しいと思っている。良くなることで山崎社長の会社も良くなるし、WinWinの関係を築ける。そうなることを望んでいる。
現場の仕事が自分の手から離れた時に、クレームは始まる。正常な反応ともいえる。
要はクレームの対処ができるかどうか、それを改善し続けられるかを、試されているのだ。もし、改善できなければ市場からは退場だ。
みやび君はどのように乗り換えていくのか、見ていきましょう。
それは突然、やってきた。
「みやび社長、ちょっとよろしいでしょうか?」島田君が、うつむき加減で話しかけてくる。普段はみやび君から話しかけることが多い関係。違和感しかない。
「どうした?」突然、話しかけられて驚くも平然を装うが、次の一言に驚きを隠せなかった。
「辞めさせてください」
島田君は真剣な顔だ。そして申し訳なさそうに下を向いて、目を合わせない。理由を聞いても、まっとうな答えが返ってこない。
・ついていけない
・仕事がつらい
・思ったのと違う
などと的を得ない。話を聞きながらも、明日の現場、明後日の現場のことが頭の中をぐるぐる回る。辞めたらどうするんだ?誰がやるんだ?最近、新たに受けた仕事はどうする?島田君がやるんじゃないのか?
焦りは加速し次第に怒りが湧いてくる。とにかく辞めてもらったら困る。
「考え直してくれないか?嫌なことがあるなら話を聞くよ」心の中とは裏腹に優しい言葉を選択する。島田君は黙っている。「大変なのは分かる、私も島田君にちゃんとしてあげられなかったと思う。これからはちゃんと向き合っていきたい」島田君は黙っている。
「明日からの現場のこともあるし、もう少し頑張ってみてくれないか?」少しずつ本音が漏れる。島田君は下を向いたままだ。何を考えているのか分からない。それが余計に腹立たしい。
私がこんなに困っているのに、こいつは知らん顔。自分で引き受けた仕事くらい、ちゃんとやれ!と言いたいのをぐっと喉の奥に飲みこんだ。
どれだけ声をかけても島田君は何の反応もない。時々、口を開くかと思えば「すいません」しか言わない。
話しかける間にも、これからの不安が頭をよぎる。「島田君、もう少し頑張ってみようか。また明日、話しよう」といって、2人とも現場に向かった。
何も言わない島田君を押し切る形で退職を踏みとどまらせた。気分がすぐれない1日だった。
難しいことをしているわけでもないし、給料の面でいえば、島田君は以前より良くなっているはずだ。何が不満なのか考えるが、何も思いつかない。妻に相談するも「そうねぇ、辞めたくなる時は、突然くるわけじゃなくて、小さなことが積もり重なった結果だからね、何なのかなぁ」と明確な答えは出てこない。
その晩、考え事をしていると、小太り君から電話がかかってきた。小太り君は夜や休みの日には絶対に連絡してこない人だから、何か緊急のことがあったに違いない。
「お疲れ様です!どうしましたか?」胸の高鳴りがとまらない。心臓が飛び出そうだ。「いや、すまん、すまん。手短に終わらせるよ」
今日、小太り君の現場にいた、島田君のことについてだった。予想通りの展開。ドキドキが止まらない。
・山崎社長からクレームがあったことは聞いた
・島田君は上っ面は良いが、本質的には適当な人間
・今日は本当にひどい仕事だった。やる気が全くなかった。
・何かあったのかもしれないと思って、明日になる前に連絡しようと思った
とのことを言われた。「仕事は私のほうで代わりにさせていただきます。すいませんでした!」頭を深々下げるが小太り君は優しかった。
「いや、良いんだけど、大丈夫なのか?みやび君のところ?前から言うべきか悩んでいたんだが、島田君の評判はあまり良くないよ」それから山崎社長に言われたことと同じようなことを言われた。もう頭の中が整理できない。
島田君に辞めてもらったら仕事がまわらなくなるから辞めてほしくないけど、クレームの対処の仕方が分からず、今後もクレームは止まらないようにも思えた。私はどうしたらいいのか・・・?
小太り君はアドバイスもくれた。「みやび君の今の気持ちはよく分かる。大変だろう。でも、しっかりしろよ。私はみやび君の力を知っているから、乗り越えて欲しい」病んだ心に有難い言葉をかけてくれて癒される。
それから数日間、島田君と何度も話したが、冷戦状態が続く。それでも毎日仕事は続く。止まらない仕事に逆らえず、流れに身を任せるしかなくなっている。しかし、事態はさらに悪化する。
朝、山崎社長から電話だ。嫌な予感しかしない。
「おはようございます!」元気に電話に出ると、山崎社長の声が荒れている。「おい!どういうことだ?島田がこないぞ、どうなっている?」
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。「え?島田がこないってことですか?・・・すいません!すぐ連絡とります!」と言って一旦電話をきり、島田君の携帯番号に電話をしたが出ない。何度かけても出ない。出ろよ!ふざけんなよ!お前なめてんのか!と怒り狂うが、次第に、お願いだから出てくれ…に気持ちが変化した。
山崎社長に連絡したのは、30分以上経ってから。山崎社長は怒り狂っていた。謝って許されることではない。人手が足りていないことは知っている。だから、私に仕事を依頼してくれている。その期待に応えるどころか裏切ってしまった。
山崎社長に謝らなければいけないし、今日、明日の仕事の段取りもしなければいけない。島田君に構っている余裕などない。手の空いてそうな人に片っ端から電話をし応援を頼む。もちろん突然の頼みに応じてくれる人など、そう多くはないし、お金もかかる。
自分の仕事に加え、島田君のしりふきに追われた1日だった。自分の現場を終えて直ぐに、山崎社長の元へ走っていった。何とか、明日の人手の確保はできた。山崎社長の口数は多くなく、一方的に謝る形で終えた。
夜遅く帰って妻に報告すると「島田君、蒸発したのね」と呑気な様子。楽観的な妻に救われる。
「独立して上手くいってなかったから、誰かに寄りかかりたかったのかね。逃げ癖のある人なのかな」 目線は手元のティーカップ。紅茶をすすりながら独り言を言う妻。
がんばれ!みやび君
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人を雇用したことがある人は誰もが経験したことがある。
多くの経営者は分かる嫌な言葉「今、ちょっとお時間よろしいですか?」必ず訪れる退職の日。
退職の日があるということは、胸を躍らせて採用したあの日もある。
どんな人だろうか。
どんな活躍をしてくれるだろうか。
ちゃんと育てられるだろうか。
うちの会社でよかったのか。
給料は払えるだろうか。
待遇は満足いくものを提供できるだろうか。
様々な期待や不安を抱えながら採用した。最初に採用した人というのは誰でも鮮明に覚えているもの。
これまで1人でやっていたことを、当然、2人でやることになる。仕事量が半分になるかと思いきや?
ここで、採用する目的を考えてみましょう。
みやび君の場合は、仕事量が増えてきたから。自分の手に負えないくらいの仕事量の受注になったから。
この辺でしょう。多くの人がこの理由だと思います。
しかし、人によって違う点が大きくわけて2つあります。
一つは、採用するタイミング。もう一つは、採用後の準備。
まずは、タイミングから。採用するタイミングというのはいつが良いのでしょうか?
残念ながら、忙しくなりすぎてしまっている時に採用すると、教育する時間がありません。それは、みやび君が示した通り。タイミングが遅いということです。
では、いつ採用すれば良いかというと、忙しくなる前です。人を育てるというのは想像以上に大変です。自分の代わりになると思って採用しても、自分の代わりになるどころか、自分の時間が奪われることのほうが多くなります。
この時に難しいのは、忙しくなる前とはいつなのか?です。売上もないのに給料が払えない、という不安も生まれます。
だから、数字を使って計画を立てるのです。現状の会社状況を把握して、そこに予測して未来の数字を作ってみる。そうすれば、「採用しても大丈夫かどうか」が見えてきます。もちろん、その通りになるとは限りませんが、何の指針も持たずに進むよりかは勝つ確率が上がります。
もしくは、いつ採用しても大丈夫なような利益体質、財務体質を作っておくことです。だから、人を採用し、事業を拡大するには、利益を出し続ける必要があります。
次は、採用後の準備。
採用すると、手取り足取り教える必要があります。会社の考え方から、電話の取り方、切手の貼り方(笑)など、教えることは様々。これらを順次教えていく必要があります。
かといって、教えるのには時間も根気も必要。「あと、やっておいて」だけで出来る人など一握り。多くの人は手取り足取り教える必要があります。それが普通です。
しかし、採用前に教えることを言語化しておけば、教える手間が省けます。マニュアル化とも言えます。
しっかりしたものでなくても、採用後に教えること、やるべきことを一覧にしておくだけでも効果はあります。
採用してから、あれこれ考えることは避けて通れませんが、採用前に分かることは採用前にやっておけ。ということです。
とはいえ、初めて採用するときにマニュアル化が出来ていることなど稀ですし、マニュアルを作成したとしても、その通りになるわけではありません。
そして残念なことに、人はマニュアルを読まないです。
テレビを購入した時、テレビのマニュアルを読みましたか?
電子レンジを購入した時に、マニュアルを読みましたか?
読む人もいるでしょうが、ほぼ読まないです。それが、仕事だからマニュアルを読むかどうかと言えば、読まない。
読まない、読めない、読む気がない。が日常です。
だって、あなたも読まないでしょ?(笑)
それを職員には読め!というのもおかしな話です。
だから、マニュアルがあるから大丈夫!と思うのも間違いです。それだと人は育ちません。
最初に採用する人は、本当に根気よく育てる必要があります。1に根気、2に根気、3に根気。
自分が期待する成長スピードの1/10、1/100しか成長しません。しかし、確実に成長し、あなたを助けてくれるようになります。それまでは、近くにいて教え続ける必要があります。
中には1を言えば10理解してくれる人もいます。優秀な人ですね。そのような人を採用できれば最高です。そのような人が採用できた場合には、必ず社長の考え方を伝えなければいけません。
仕事が出来るが故、指示がなくてもガンガン仕事をしてくれますが、全ては自己流です。社長である自分と違う仕事をしているようでは、会社としての成長が望めません。だから、仕事が出来る人であっても、考え方が一致するまでは近くで仕事をする必要があるのです。
採用した職員が成長する過程で、マニュアル化をすすめ、自分の考え方、伝えたいことをまとめていきましょう。
2人目、3人目を採用した時に、それが活きてきます。
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【第26話】みやび君、独りに戻って自由になったのか地獄に戻ったのか