自分の代わりなんて存在しない!みやび君、原因不明の体調不良に悩まされる【第27話】

 

途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話へ

 

初めて採用した島田君が辞めて、しばらく経ち、仕事も落ち着いてきた。

 

一人で仕事をするのは、とても快適だ。

 

自分が獲得した仕事に精一杯取り組んでさえいれば、自分を攻撃してくるやつはいない。みやび君が社長であり、自分ですべてを決められる。誰からも指示されることもない。

 

その最高に素晴らしい環境を捨ててまで、人を採用する意味を見いだせない。

 

しかし、なぜ人を採用したかというと、仕事が一人では抱えきれないくらいに獲得できた。そして、自分を頼りにしてくれる人たちの期待に応えたい。そう思っていた。

 

今のぬるい環境を守るのが大事なのか、人のために何かしたいという貢献欲が大事なのか。

 

みやび君はどのような決断をしていくか、みていきましょう。

 

 

【第27話】みやび君、原因不明の体調不良に悩まされる

 

売上も増えて、利益も増えているはずなのに現金が増えている感覚がない。その仕組みを知るために税理士に相談した。

 

税理士からの回答はいつものように明確だった。

 

・それほど増えないのでいい

・生活費に比べて利益が少ない

・節税も検討しつつ生活費も一度見直すといい

・このまま働き続けることが出来れば、徐々に増えていく

 

現金を増加させる難しさを知った気がした。

 

個人事業主だから、自分が得た利益の中から生活費を払うことになるが、生活費は経費にならない。

 

だから、【"利益-税金"="生活費+貯蓄"】の計算式が成り立つらしい。

 

貯蓄を増やそうと思えば3つの方法がある。

 

1.利益を増やす

2.税金を減らす

3.生活費を減らす

 

目からうろこだった。税金を減らすことばかりに目がいきがちだが、自分でコントロールしやすいのは税金ではなく、利益と生活費のはずだ。

 

ピンとくるものがあった。

 

税金を減らす方法は税理士に任せるとして、利益を増やす方法と生活費を減らす方法を考えなければいけない。

 

利益を増やす…?

 

利益を増やすにはもっと売上が必要…?

 

もっと働けってこと・・・?

 

ん・・・?

 

もっと働いた結果、どうなった? また妻が家から出ていくぞ(笑)

 

頭をフル回転させた結果、出た結論に笑えた。「おーーーい!ダメだよーーー!」車の中で大きな声で叫ぶ。

 

正直に妻に相談しよう!

 

その日の晩、ご飯を食べながら、税理士から言われたことを伝えた。そしたらだ!妻から意外な返事が返ってきた。

いいわよ!やってみなさいよ!私たちも少し我慢する。最近のあなたは変わってきたし、前とは違う。

あっさり妻から許可が出て、私はガムシャラに働くという意思決定を許された。

 

有難いことに仕事の依頼は途切れることはなかった。今まで断っていた仕事もやってみようと受けていった。自分では受けきれないものは外注にだした。丸投げして少しの利益を頂く。

 

とにかく、働け!働け!働け!

 

元来、働くことに抵抗のない私は、働き続けた。妻も娘も私の姿を温かく見守ってくれるため、より一層仕事に精を出すことができた。有難い環境が私のやる気を後押しする。

 

売上は上がり、明らかに手元に残るお金が増える感覚があった。

 

これはイケる!?仕事を受注し続けて、自分が受けられない仕事は外注に出す。そうすればいい。

 

外注先は逃げ出す人もいないし、ある程度仕事をやってくれる。出来ない人がいれば、外注先を変えればいい。島田君みたいに気を遣う必要もなく、ドライな関係でいられる。忙しい私にとっては好都合な関係だ。

 

それから数カ月間、この生活をつづけた。

 

預金口座の残高の増え方がかわってきた。めちゃくちゃうれしかった。ようやく自分の働き方を見つけた気がした。

 

島田君を採用して、それは失敗だったけど、その失敗を活かして、自分に合った働き方を見つけた。起業するって、色々あるけど、面白いなぁと感じていた。

 

ガムシャラに働き、夜遅くに帰ることもあったが、妻と娘は笑顔で出迎えてくれ、このままいけば貯蓄も増えそうな気がする。何の問題もなく、毎日が進んでいく。

 

そんなある日、税理士からチャットが届く。「事業は好調のようですね!お身体のほうは大丈夫ですか?」

 

「ありがとうございます!すこぶる快調です!」即レスする。精神的にも安定しているし、仕事に集中できている。

 

税理士といくつかやり取りした。何やら、数字を見る限りは好調そうに見えるが、急激な変化に体はついていけているか?みたいなことを心配されたが、余計なお世話だ。順調そのもの。

 

久しぶりに早く帰れる日があり、家族で晩御飯を食べていると妻が「来月の土曜日の午前中なんだけど、娘の保育園の親子参観があるの。パパの出番もあるようで、出れる?」と。「もちろん!」と即答した。

 

その後、スケジュールを確認してみると仕事が入っていることがわかった。

 

「本当ごめん」 ただただ、謝ることしかできなかった。妻は残念そうな顔をしていたが、それ以上何も言わなかった。娘もさみしそうな顔をしているが何も言わない。それが余計に胸を締め付けてきた。

 

その土曜日が近づくにつれて、私の体調に変化が現れてきた。

 

その日は朝起きると、体が重たい。どうしても仕事に行きたくない。行きたくないが、行かなければいけない。

 

行きたくないという強い感情と、行かなければいけないという責任感が布団の中で戦っていた。勝つのは、行かなければいけない責任感。私しかできない。私がいかなければいけない。島田君みたいに逃げるわけにはいかない。

 

重い身体を無理やり起こし、仕事に向かった。

 

がんばれ!みやび君

 

 

自分の代わりがいない個人事業主

 

起業に役立つ動画を定期的に配信しています。無料ですので、ぜひご覧ください。

 

過去の配信履歴

■意外とよくわかってない?中古車による節税とは?

■【2022年度】TOTAL3000万円超!?是非利用したい4つの補助金!

■最大250万円!あなたの会社はいくらもらえる!? 事業復活支援金の申請要件と受給額を解説!

円安の今!投資を持つべきか?

など

 

LINEの登録はこちら
 友だち追加  

 

独立した当初は一人で始める人もいれば、共同経営で始める場合もある。

 

だけど、初めて起業する人の多くは一人で始めることと思う。

 

また、最初から仲間を募って、複数人でスタートすることもある。また、家族に手伝ってもらう人もいるとは思うが、やはり一人でスタートする場合が圧倒的に多い。

 

起業し、マーケティングやセールスが上手くいき、仕事が増えてくる。そうすると、みやび君のように人を採用することが頭をよぎる。何度も言うが、人を採用することが正解なわけでも不正解なわけでもない。

 

初めて他人を採用して気づくことがある。人は自分の思うようには動かない。書店には「人を動かす」ための書籍が多数ある。それほど多くの人が悩むテーマでもあることがわかる。

 

だから、初めて人を採用したみやび君が苦労するのは、むしろ当たり前のことだった。

 

従業員に経営者のように考えて欲しいとか、経営者のようにふるまって欲しい、と考える人もいるようだが、そんなことは無理な話。従業員には従業員の立場と言うものがある。

 

経営者は知らず知らずのうちに多くの経験をする。否が応でも、それらを乗り越えていく。乗り越えなければ、ビジネスを続けていくことが出来ないから、仕方なく越えていったともいえる。

 

その人と従業員が同じ目線に立てると思うなんて馬鹿げている。目線を合わせるのは経営者のほう。従業員に目線をあわせ、彼ら彼女らが働きやすい環境を作る。働きやすい仕組みを作る。これが経営者の仕事。

 

他人の会社に就職して、他人の会社の利益のために働く。その対価として、給料を手にする。

 

その人に経営者のように働くことを期待するほうが、頭がイカれている。

 

さて、みやび君は採用した従業員の育成に失敗(?)し、一人に戻った。居心地のいい一人の世界を満喫しているわけだが、満喫し続けられるわけがない。簡単なことなのだが、全てを一人でやらなければいけない。

 

・風邪をひいても

・インフルエンザになっても

・コロナに感染しても

・体調がすこぶる悪くても

・嫌な顧客を相手にしても

・お金がなくても

 

働き続けなければいけない。それが一人でやるということ。自分の代わりなんていない。

 

若くて身体も元気なときは、がんばれる。気合も根性もあるし、徹夜したって大丈夫。少し休めば体力は回復する。

 

しかし、時間を重ねるごとに体力は衰えていく。若い時と同じような気力も体力もない。それでも一人で働き続けなければいけない。

 

その間に、自分より気合が入っていてやる気もあって頭も良くて、フットワークが軽く優秀な若者が市場に流れ込んでいく。

 

そして、同じ仕事を繰り返してきた結果、先細りしていく。同じことを繰り返しても、同じ結果が得られるだけ。なんと、怖い未来だ。

 

サラリーマンであれば、現場で実務を担う立場から、部下を統括する立場になったり、その人の特色や能力にあわせて、ポジションが変わるが、一人でやる起業家にはそれがない。

 

自分でその環境を作らなければいけない。なんと、大変なことなんだ。

 

いつまでも自分が現場の最前線で働いていると、いつまでも最前線で働き続けなければいけない。自分が倒れれば、たちまち無収入になる。実績を積み上げるのはコツコツ時間がかかるが、転げ落ちるのはあっという間。

 

みやび君は、一人であることに居心地の良さを感じているが、未来永劫、続くわけではない。相変わらず、仕事は自分で獲得し続けなければいけないし、獲得した仕事は自分でやり続けなければいけない。面倒な雑務も自分でやり続けなければいけない。

 

そして、一人で稼げる限界を感じながらも、その状態を維持することに努めるだろう。それも長くは続かない。

 

ここで、道は4つにわかれる

 

1.起業をやめるか

2.このまま進み潰れるか

3.人を採用し仕事を委任するか

4.価値や単価をあげ、稼ぎまくって早めに引退するか

 

どちらを選択しても困難が待ち受けているわけだが、決断しなければいけない。崖に向かってゆっくりブレーキをかけながら進んでいる状態は避けなければいけない。

 

経営者の重要な仕事の一つが「決める」ことだが、これは困難を極め、腹をくくらなければいけない。決断を遅らせれば遅らせるほど、崖にむかって進んでいる。いつか崖から落ちるのを待つことになる。

 

問い合わせフォーム

LINEで問い合わせ

 


 

■過去記事

【第0話】がんばれ!みやび君

【第1話】みやび君、起業する!

【第2話】みやび君、税理士に相談する

【第3話】みやび君、お金を借りる

【第4話】みやび君、創業計画書を描く

【第5話】みやび君、開業する

【第6話】みやび君、挨拶周り

【第7話】みやび君、初月の売上に驚く

【第8話】みやび君、確定申告が近づく

【第9話】みやび君、無料の情報を集めて確定申告書を作成

【第10話】みやび君、納税資金が足りない

【第11話】みやび君、計画を立てる

【第12話】みやび君、営業する

【第13話】みやび君、家族崩壊の危機①

【第14話】みやび君、家庭崩壊の危機②

【第15話】みやび君、仕事の価値を考える

【第16話】みやび君、時間について考える

【第17話】みやび君、単価を上げる

【第18話】みやび君、単価を上げる②

【第19話】みやび君、しない事を決める

【第20話】みやび君、紹介営業を始める

【第21話】みやび君、事業好調なのに資金繰りを考える

【第22話】みやび君、従業員を雇うか迷う

【第23話】みやび君、従業員を雇うと決める

【第24話】みやび君、人を採用してからクレームのはじまり

【第25話】みやび君、辞める従業員に苛立つ

【第26話】みやび君、独りに戻って自由になったのか地獄に戻ったのか

 

■次回記事

【第28話】みやび君、不労所得に逃げる

 


 


カテゴリ一覧
税理士試験勉強物語
雅税理士事務所について
読むだけで上手くいくビジネス物語
RPAは使えるツールか
税理士契約Q&A
新着記事
起業したばかりだから安く確定申告やりなさい!
2024.02.25
税理士を出せ!無資格の職員対応に困っている
2023.12.24
税理士が高圧的。優しく教えてくれますか?
2023.11.19
新人ばかり寄こすな!出来る担当者を連れてこい!
2023.10.22
NOをYESに変える!断られない確定申告依頼のコツ
2023.10.10
楽ちん経理術。税理士変えずに会計ソフトだけでOK!
2023.08.21
金払ってんのに顧問税理士の対応が悪い!
2023.07.24
税理士が嫌いな顧客TOP3
2023.07.18
経営理念なんて考えるのはカッコ悪いよ! がんばれ!みやび君【第31話】
2023.07.03
数字の壁。試算表から透ける企業の業績を理解する方法
2023.06.26
関連する記事
経営理念なんて考えるのはカッコ悪いよ! がんばれ!みやび君【第31話】
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話へ   なぜ独立したのかを考える時間を…
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話…

独立した理由なんて必要ない。がんばれ!みやび君【第30話】
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話へ   前に進んでいるつもりが、同じと…
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話…

進めない!1歩進んでも1歩下がる。がんばれ!みやび君【第29話】
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話へ   原因不明の体調不良に悩まされて…
途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話…

知らないと損!不労所得が全てを解決してくれる がんばれ!みやび君【第28話】
  途中から読み始められた方は第0話から読み進めて下さい。第0話へ   一…
  途中から読み始められた方は第0話…