ウソだ!起業時に簿記の知識がないほうが良い!は本当なの!?

Q.起業時に簿記の知識は必要か?

A.ほとんどの場合で必要ありません。

 

 

起業時に簿記の知識は必要か?

 

「起業したのなら簿記くらい勉強した方がいいよ!」

「若い経営者はみんな簿記を理解しているよ!」

 

周りの経営者の方にこんなこと言われたことはありませんか?

 

逆に、起業したての方から

「経営者になったので簿記の勉強くらいした方がいいですか?」と聞かれることもあります。

 

結論を先に言いますと、ほとんどの場合で必要ありません。

 

あくまでも個人的な見解ですが、今回はこれについて解説していきます。

 

 

そもそも簿記とは何か?

 

そもそも簿記とは何でしょうか?

 

商業高校や一部の学校を卒業した人を除き、基本的に簿記というものに触れた方は少ないと思います。

 

例えば、就職活動で金融系の職種を希望された方は既に資格を取得しているかもしれません。

 

簿記とは簡単に言うと「会計のルール」のことを言います。

 

では、なぜこの簿記という会計のルールがあるかと言うと決算書を作成し確定申告をするために必要になります。

 

もしこの簿記というルールがないと自分のルールで決算書を作ったり、自分勝手な確定申告が行われてしまいます。

 

ですので、簡単に言うとみんな同じルールで上記の書類を作りましょう、ということです。

 

例えば、車を買うというケースを思い浮かべて下さい。

 

車の購入に使ったお金は全額経費になるんじゃないかと思われるかもしれません。

 

しかし、簿記のルールでは、商品や一部のものを除く10万円以上の資産の購入については、購入時に経費にせず「減価償却」といった方法で経費にするルールになっています。

 

このように、簿記を勉強するということは、会計のルールを覚えるといったことになります。

 

 

簿記の知識があれば何が出来るの?

 

簿記の知識についても段階があります。

試験を受けて日商とか全商とかいった団体から認定されるのですが、1~3級(1級が一番すごい)などの段階があります。

 

例えば、金融系のお仕事につかれる方は入社前に日商簿記3級以上を求められることがありますし、会計事務所の場合は日商2級以上を求められることがあります。

 

ちなみに一般的には日商3級で2週間から1ヶ月程度、日商2級で2ヶ月程度の勉強が必要と言われております。

 

日商1級は難易度がさらに上がるため、個人差はあるでしょうが、それなりの勉強時間が必要かと思います。

 

話は脱線しますが、税理士試験は5科目合格が必須とされており、5科目合格するまでの平均年数が10年と言われております。合格した人で平均10年。合格していない人のほうが多いでしょうから、多くの人が税理士になれないまま終わっていくことが想像できます。

 

つまり恐ろしい試験とともに、それを乗り越えてきたのが税理士ということです。

 

話を戻します。例えば日商簿記3級を取得したら何が出来るでしょうか?

 

会計事務所的視点ですが、仕事と言う意味では正直何も出来ません…残念!

 

大学生の時に日商簿記3級を取得する人も多いでしょう。この勉強をして出来るようになったことが、日商簿記3級のテキストを解けるようになったということくらいかと思います。

 

雅税理士事務所に所属する税理士でさえも、その程度のことしか出来ませんでした。

 

そんなことを言うと資格取得の意味がないじゃないか!と思われるかもしれませんが、専門的な言葉「減価償却」とか「棚卸し」とかを何となく分かるようになります(笑)。聞いたことがある程度で実務でどのようにそれらを使えばいいのかは、分からないでしょう。

 

ただし、資格を取得すること自体は無駄ではありません。簿記3級を理解したうえで、実務をすることで、決算書の作成等が出来るようになります。そして専門用語を知っているので、コミュニケーションにかかるコストが減るメリットはあります。

 

教える側の立場に立てば「減価償却が~」と言ったときに「???」の反応されるのと、「あ!なんか聞いたことある!」と反応されるのとでは全然違います。

 

つまり、簿記の勉強をするということは、会計に関する基礎工事のようなものです。

 

 

決算書を作る?決算書を理解する?

 

上で解説した通り、簿記の勉強をするということは、決算書等の書類を作るための基礎を勉強するといったことになります。

 

では質問します。

起業したての方に必要なのは決算書等を作る為の知識を得ることでしょうか?

 

冒頭で「起業したのなら簿記くらい勉強した方がいいよ!」という言葉の意図は、どういった意味だったのでしょうか?

 

「自分で決算書等を作成することになるだろうし、あらかじめ勉強しておいた方が良いよ」という意味でしょうか?

 

「経営者なんだから簿記を勉強して自分の会社の状態くらいわかるようになった方が良いよ」という意味もあるかもしれません。

 

簿記を勉強し、自分の決算書を何となく作成すること、これに関しては正直そんなに難しいことではありません。

 

ただし、簿記を勉強して自分が作成した(または他人が作成した)決算書を理解できるかというと正直かなり難しいかと思います。

 

繰り返しますが、決算書を作ること自体はそんなに難しくありません。今では会計ソフトがかなり進化しているので、通帳やカード会社のデータを自動で取込み、ちょっと追加すれば何となく決算書は出来ます。

 

だがしかし、その決算書をみてもあまり得られるものはないでしょう。

 

例えば、前年から比べて売上が増えたとか利益が減ったとかそんな情報は得られるかもしれませんが、それ以上の情報は得られないかと思います。

 

逆に言うと、正確につくられた決算書からは他にも得られるものがあるということです。

 

正確に作られた決算書からは、今の事業や会社の状態が正確にわかります。また、見る人が見れば今後起こること、少し先の未来が見えてきます。

 

本気で経営をすると様々なトラブルに見舞われます。

 

例えば、「社長の感覚的には利益が出ているはずだが、全く利益が出ない事業になっていた」とか「売上は伸びて、利益も出ているはずなのにお金がない」 なんてことを我々税理士はよく耳にします。

 

決算書を正確につくり、理解することで、こういったトラブルを先回りして回避することが出来るようになります。

 

数字はうそをつきません。そういった兆候が必ず決算書にはっきりと出てくるからです。

 

つまり、決算書を何となくつくることは最低限のステージで、ルールに従って正確に決算書を作るステージがその先にあって、決算書を経営に生かすというステージがさらにその向こうに存在するということです。

 

簿記を勉強することで、おそらく最低限のステージには到達することは可能です。ただし、その上のステージとなると正直簿記を勉強するだけではかなり難しいかと思います。

 

自社はもちろん他社の決算書を読んだり、簿記以外の書籍を読んだりして、初めて到達できます。

 

 

結局簿記の知識は必要なの?

 

冒頭でも触れた通り、起業時に簿記の知識は必要ありません。

 

理由は優先順位がそれ程高くないからです。起業時にはすることがいっぱいあるはずです。

 

新規の営業もしなければいけないし、お勤め時には誰かがしてくれていた事、トイレ掃除も、コピー用紙の準備も、経理も総務も最初はすべて自分でしなければいけません。

 

自分はまだ時間があるので問題ありませんという方は、さっさと営業に行ってください。売上を上げることに多くのリソースを使ってください。

 

別の回で解説してますが、開業時の手取りには騙されたらダメですからね。

 

(別記事)手取りに騙されるな!起業して収入が増えたのに生活が苦しくなった本当の理由

 

それでも、自分は大丈夫という方に関しては、是非勉強して下さい!

 

簿記の知識は必ず必要という訳ではありませんが、いずれ必要になりますので、勉強すること自体は無駄ではありません。また、簿記を勉強したくはないけど決算書を理解したいという方に関しては、是非雅税理士事務所にお問い合わせ下さい。

 

当事務所では、決算書や試算表の他、独自の資料を用いて毎月タイムリーにクライアント状況を報告しております。→https://miyabi-z.jp/highlight

 

ちなみに、詳しく調べたわけではありませんが、起業時に簿記の知識がある人は1割、2割程度だと思います。簿記って何?という方が殆どです。それでも、自社の状況を理解されています。

 

気になる方は当事務所のHPを隅から隅までご覧くださいませ。

 

 

やがて簿記の知識が必要になってくるとき

 

開業時、起業時には簿記の知識は必要ありません、と言ってきました。

 

もちろん、ないよりあったほうが良いのですが、起業時はやることが多く、簿記の学習などは優先順位がかなり低くなります。

 

でも、いずれ知識が必要になってくるときはやってきます。

 

どういう時かというと、数字で会社を把握しなければいけなくなった時です。

 

数字で会社を把握しなければいけない時とは? 

会社が成長し、自分一人で売上を上げるステージから脱却した時です。

 

自分の代わりに営業マンがいたり、自分の代わりに現場を仕切ってくれる人がいるようになると、自分の見えない部分が多くなります。「あいつは頑張っている」とか「仕事が上手くなってきた」とか感覚の部分で把握することが出来ますが、それを客観的事実で示す必要があります。

 

儲かっているはずなのに、何故か儲かっていない。

忙しいのに、何故か儲かっていない。

 

自分ではない他の人を通して仕事をすることで、このような状況が起こりえます。しかし、数字で会社を管理しておけば、原因を把握することができます。

 

原因が分かれば解決に向かうことができます。

 

このように会社の中身が自分一人では把握できなくなってきたときには絶対に数値管理が必要になります。その時には簿記の知識が必要になってくるでしょう。

 

仕訳が出来るようになる必要はありません。

 

会計の基本の簿記の仕組みを知り、決算書を見ることで原因を探ることが出来る能力を身に着ける必要があります。

 

逆に言えば、そのステージに立つまでは、簿記の知識は起業でたいして役に立たないということです。

 

だから、雅税理士事務所では起業間もない方に関しては、記帳代行を請負うことを基本としております。ぜひ、雅税理士事務所に記帳代行の依頼をしてください。

 

雅税理士事務所の記帳代行については下記へ

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