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Q.法人を作った方が良いと周りから言われますが、法人設立したほうがいいですか?
A.ケースバイケースですが、会社を作って失敗したというパターンもあります。
「会社をつくったら税金が安くなるよ!」
「売上(または)利益が○○○万円になったら法人化した方がいいよ!」
こんな話を周りから聞いたり、ネットで見たりした人は多いのではないでしょうか?
でも、この話が自分に当てはまるかわからないで悩んでいる方もいますよね?
実は「法人化した方がいいですか?」とか「会社にしたらどれだけ税金がやすくなるんですか?」っていう質問は新規クライアントの質問で5番以内に入るくらい多い質問なんです。
雅税理士事務所に来られる客層が、比較的若い経営者さんが多いため、Youtubeなどで情報収集をしている人が多い影響もあります。
ただし、この質問をされた方のうち実際に会社を作る方の割合は3割にも届きません。(最近は、インボイス制度の関係で若干高めですが)
つまり、7割超の人が会社を作ることをあきらめてるんですよね。
もちろん、会社を作っても良いパターンはあるのですが、会社を作った後の具体的なシミュレーションをすると作らない方が良いという結論になるケースが大多数です。
実は、シミュレーションしなくても、会社をつくる必要がないという結論になる方も大勢いるんですよね。
本日は会社を作ったら良いかという点について説明させて頂きます。
一般的には下記の2点がメリットとして説明される場合が多いです。
①個人事業と比べて法人の方が経費にできるものが多い
②法人税の方が個人事業の所得税より安い
起業し個人事業者は始めた当初は税金はあまり気にならないかもしれません。しかし、事業が上手く回り始めて3年くらいたつと税金って多いなと感じるようになります。
儲けた分、全部税金にもっていかれるじゃん!(怒)
こんな声も時々聞きます。
実際儲けた分を全部もっていかれることはないんですが、そう感じるくらい税金は高く感じる方もいるということです。
そんな中、上の2点は両方とも会社をつくれば税金が安くなると言ってます。
そうです。みんな大好き「節税」です。
①について詳しく説明すると、個人事業者の場合は経費の中に「家事関連費」といったものがあります。
「家事関連費」とは、仕事でも使うしプライベートでも使うもの(例えば携帯とか車)については、100%経費に入れるのではなく実際の使用している割合を入れてね!というものです。
ちなみに法人にはこの「家事関連費」というルールはありません。
つまり、法人の場合は100%経費に入れていいよ(経費が増える)ということになります。
ただし、誤解されないように。
原則、車にしても携帯にしても個人で使用した分については、個人が法人にレンタル料を会社に支払うのが正解です。(おそらく、そこまでしている方の割合は少ないかもしれません)
結局、「家事関連費」がない分、法人の方が経費が多くなって節税できるよっていうのは、正しくはありません。(法人も個人も一緒)
また一部、個人事業の時に経費に入れられないものが法人だと経費に入れることが可能です。
例を挙げると、専従してない同居親族に対する給与、生命保険、ライオンズやロータリー会費などでしょうか。
このような経費は個人事業では経費に入れられませんが、法人だと経費に入れられます。これは「節税」に該当しますね。
②については、具体的に数字を出しますと個人事業者の場合は所得(儲け)に対する税率が15%~60%までです。(所得税、住民税、事業税)
累進課税制度といって儲ければ儲けるほど、パーセンテージはあがります。
他に消費税もありますので、儲けた金額が1,000万円を超えると半分くらい税金でもっていかれるっていう感覚になります。
これに対して法人税は均等割りという儲けにかかわらずかかる税金(年7万円程度)があるものの、儲けに対する税率は中小企業の場合は22%~38%程と個人に比べるとかなり安いです。
特にかなり儲けている人は、20%も税金が安くなります。
その他、会社を作ると最長2年間消費税が免除されるなど(インボイス制度導入後は難しいですが)確かに節税できるケースはあります。ただし、仮に節税が出来たとしても損をするケースというものもございます。
法人をつくって失敗したパターンについて解説します。
税金は確かに安くなったが、逆に支払が多くなった。
実はこのような場合は少なくありません。
このケースの中で一番多いのが「社会保険料」の支払が原因となるものです。
現在、個人事業者の場合は一定数以上の従業員がいない場合、事業者は「社会保険」に加入しなくてもOKです。
ただし、法人の場合は強制加入となります。
社会保険料の負担は会社と給与を受ける個人の合計で、給与の額の約30%になります。
自身の給与として取る金額が多い場合、従業員が複数人いる場合は、節税額を社会保険料の負担額が上回るケースがございます。細かい計算を抜きに簡単に言うと、個人事業の儲けがある程度ないと、法人をつくったとしても損をするってことです。
では、目安はどれくらいかと言うと、これはそれぞれの状況によっても違いますが、個人事業の儲けが800-1,000万円くらいが法人をつくる目安と言われています。
カンの良い方は「じゃあ自分の給料を低めに設定したらいいんじゃないか?」と言われます。
その通りです!役員報酬と呼ばれる社長の給与を低めに設定することで、法人をつくって節税になる可能性があがります。
ただし、そうすることによってデメリットもあります。お金を自由に使えなくなるということです。
個人事業の場合は、儲けたお金を何に使ってもらっても全く問題はありません。また、法人をつくって役員報酬としてもらったお金も同じく、何に使ってもらってもOKです。
しかし、法人が儲けて、法人の通帳に残ったお金は同じわけにはいきません。
簡単に言うと、事業に関係のないことには使ってはいけません。
そんなの当たり前じゃんと思った方もいらっしゃるとは思いますが、俺の稼いだ金なのに何でって思われる方もいるでしょう。
法人が役員のプライベートのお金を支払った場合(家族旅行や子供の養育費など)はもちろん経費になりませんし、役員は会社にお金を返さないといけません。
最悪、後で税務署から追加の税金を払えと言われるケースもございます。
また、法人からプライベートの支払が増えると、決算書にその内容が表記されるようになります。
その決算書を銀行が見たら、この人はお金にルーズな人だという印象になるでしょうし、融資の条件が厳しくなることもあるかもしれません。
「法人作ったら何故かお金が窮屈になったんだけど…」
個人事業者の期間が長い人ほど、そう感じるかもしれません。役員報酬の設定は損得だけではなく、プライベートのことも考慮して慎重に決定することになりますね。
事業の好不調はどんな方にもあるものです。サラリーマンのように安定して右肩上がりなんてことは絶対にありません。
「事業始めて2年目なんですけど税金が高いんで法人をつくります。」
という問い合わせがあったとします。
確かに、前年の実績をみると、法人をつくるメリットはありそうです。ただし、開業2年目の場合は、正直その実績が今後もずっと継続するかは不透明です。
誤解のないように伝えると、これが仮に開業20年目という場合でも、今の状況が来年も続く保証はどこにもありません。
ただし、昨今新しいビジネスを始めるという方が大変多いですが、事業者の数自体は増えているのでしょうか?副業やフリーランスといった新しい事業のスタイルの方は増えているのは間違いございません。
ただし、それ以外の事業者数は横ばいか減少ではないでしょうか?
つまり、何年も事業を続けられる人っていうのは、そうは多くないということです。
仮に、今の実績が単なるブームだったとしたら、法人をつくることをおすすめは出来ません。
今は良くても数年後、その状態を維持しているイメージが出来ないのであったら、一旦、現状維持が良いかと思います。
法人をつくったんだけど、それから本業の調子が落ちてきて…これだったら会社作らなくてもよかったですよね…こんな話を聞くことは決して珍しいことではございません。
つまり、短期的な損得のみを考えて法人はつくるものではないってことですね。
会社をつくって損するか得するかなんて誰にもわかりません。だって来年のことなんて誰にもわかりませんから。
当事務所でシミュレーションする場合も、同様に過去の実績をもとに、現状、将来のヒアリングをして法人をつくるべきか検討しております。ただし、その結果、法人を設立した方が良いとなったとしても、確実に得できるかは本人次第となります。
では、どんな場合に会社をつくったらいいのって話です。
明らかに法人を設立して税金が得する場合は当然ですが、仮に税金が安くならなかったとしても下記のケースは検討してもいいです。
■法人をつくることで取引先が増える
■法人をつくることで従業員の雇用がしやすい
■法人を作らないと出来ない事業
むしろ、税金が安くなるかどうかより、本業の活動が拡大するので法人をつくるという考え方が健全ですし、上手くいくケースが多いですね。雅税理士事務所では、数多くの法人化のシミュレーション、法人設立のお手伝いの実績がございますので、気になる方はお問い合わせ下さい。
最後に私の尊敬している税理士の言葉でしめたいと思います。
「会社を作ることは、子どもを作ることと同じと考えて下さい。多少できの悪い子だとしても、子どもを殺すことはできないですよね?会社も同じです。真剣に考えて決めて欲しいと思っています」
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