ネットのワナに注意。記事を鵜呑みにすると失敗する理由

Q:インターネット記事で○○をしたら節税できるってみたんですけど本当ですか?自分でもやってみたいのですが

A:もちろん、節税になるケースもあります。ただし、その情報がご自身に当てはまるかは分かりませんので、よくよくご検討ください。

 

インターネット記事や無料動画について思う事

 

最近はSNSを含めインターネットやYoutubeなどの動画で何でも調べることが出来ますね。

 

私自身が個人事業者で税務や会計の知識がなかったとしても、これなら何とかなるんじゃないかって思えるくらいです。

 

調べたいことを検索すれば大体答えが出てくる気がします。正直、税理士なんていらないんじゃないかって思う事もあります。

 

ただし、その情報がすべて正しいとは言えないという点にご注意ください。

 

例えば、「○○は経費になる」っていう情報があったとします。

 

それを見たあなたは、「本当に?それだったら自分もやってみよう」と思うかもしれません。ただし、その情報があくまでも、その発信者にしか当てはまらない情報と言う可能性もあります。

 

また、その人が○○を経費に入れているだけで、見る人がみたらそれは違法だろうと考えるかもしれません。簡単に言うと違反しているが見つかってないだけという可能性もありますよね。

 

つまり、情報はいっぱいあるが、それが自分に当てはまるかどうかの判断をしなければいけないということです。

 

本記事では、最近特に多い問い合わせについて、自分の考え方をお伝えしたいと思います。

 

あくまでも、私の意見ですので、別の税理士では違う見解かもしれませんし、参考程度にご覧ください。

 

 

マイクロ法人を作ると節税が出来る?

 

この問い合わせ最近すごく多いです。特に若い個人事業者の方から。

 

結論を言うと「かなり儲かっている個人事業者」ならメリットはありますね。

 

また、税務リスクもあるので、ただ作るだけではなく、しっかり法人を作る理由を明確にしましょう。

 

まず、スキームの概要から解説します。

 

このスキームは個人事業者が法人を設立し、自分の事業の一部を、法人へ移行することによって節税できるっていう仕組みです。

 

会社をつくること自体は20~30万円の費用をかければ1ヶ月程でつくることが可能なので、そんなに難しくありません。

 

また、効果としては、所得税などの節税もありますが、主に国民健康保険料(税)の節税となります。

 

個人事業を開始して2年目くらいの方からよく質問を受けます。「国民健康保険料」ってこんなに高いの!?

 

そうなんです。高く感じるんです。慣れたらそんなものなんですが…

 

この感情を持ったまま、「マイクロ法人を作ると国民健康保険料が安くなる」なんて記事を読んだらやってみたくなる気持ちも分かります。

 

確かに、月8万円払ってた国民健康保険料が、マイクロ法人を作り社会保険に切り替えることで、何と月2万円になると聞くとやってみたいですよね。

 

ただし、このスキームがあなたに当てはまるかは、あなたの儲けの金額が大きく影響します。

 

簡単に言うと、8万円➡2万円ならやる価値あり、4万円➡2万円ならやる価値なしといった具合です。

 

法人を作ること自体は簡単ですし、そんなにお金もかかりません。ただし、その法人を維持していくことはかなり大変です。費用もかかります。

 

個人事業の確定申告は自分で出来るかもしれませんが、法人の申告は提出する書類が多くかなり難しいです。

 

じゃあ、税理士を雇えばいいって思われるかもしれませんが、結局そこにコストがかかります。

 

マイクロ法人を作ったが費用倒れしてるってケースは少なくないかもしれませんね。

 

「新規事業を開始したいんだが、税金払うの嫌だしマイクロ法人を作って…」こんな相談もありますが、まず稼いでから言ってください。

 

また、マイクロ法人を作ることの意義もしっかり検討して下さい。

 

「税金を安くする為、というしっかりした意義がある」

 

こんなのはNGです。

 

税務署からしたらこんな理由で法人作られると正直ムカつくわけですよ。

 

そもそも、法人に入ってくる収入が法人のものかどうかも疑わしい。

個人事業から法人に支払ったものを法人の売上にすればいい?その理由は?

 

人間は感情のある生き物です。それは税務署の人たちも同じです。感情的に「こいつ嫌いだなぁ」と思えば、真剣に、本気になります。

 

それで、そのスキームの落ち度を探しにいくって流れになります。

 

よくあるマイクロ法人に委託する業務としては、「個人事業のコンサル(相談)」とかありますけど、個人事業(自分)に対して自分の経営している会社(自分)がコンサルって、正直どーなのよって思いますが。

 

みんなやってるし大丈夫でしょうしか理由が見つかりません。

 

「赤信号・みんなで渡れば・怖くない」

こんな感じです。

 

マイクロ法人を作るとしたらもう少し仕組みを考えた方がいいような、、、と個人的に感じる内容でした。

 

 

 

出張手当って支給できるの?非課税って聞いたけどどうなの?

 

「知り合いの社長に聞いたんだけど、出張手当支給すると節税になるんだってな?」

 

はい。いいところだけ拾い上げるとそんな感じです。

 

出張手当の支給に関しては、なぜかネットの記事を書く人、動画配信者、節税コンサル、知り合いの社長に節税自慢する人、みんな大好きですよね。

 

ただし、先に上げた中にはほぼ税理士はいないんですよ。

 

それは、法律をしっかり理解しているとメリットが少ないことを知っているからです。

 

税理士の中にはそれを売りにしている人もいますが、それはあくまで客寄せのためです。

 

節税コンサルは節税の手法を売るのが商品ですが、税理士はそれが顧問契約になります。居心地の良い言葉は集客にはもってこいのため、それを利用しています。

 

逆に、この制度でめっちゃ得したって方は、法律を自分のいいように解釈している人っていう認識です。私的にはですが…

 

この点について解説します。

 

まず、出張手当については、支払った側(法人)では経費になり、受け取った側(社長・従業員)では税金がかからない収入になる、すごく有利な制度です。

 

なぜ、受け取った側では税金がかからないかと言うと、同じくらいの金額個人的に負担したよねってことです。

 

つまり、この制度の本質は、出張に行った際に現地で払う経費を都度精算するのが大変なので、概算で渡してもいいですよっていう制度です。

 

感の良い方なら、気付いたかもしれませんが「出張した時の経費を全部会社の経費にしてたら、基本的に出張手当って払えない」ってことです。

 

そりゃそうですよね。宿泊費や移動費、現地での飲食代は経費にしていて(細かい人はコンビニ代なども)、さらに出張手当も経費に出来るなんて、そんな都合の良い制度を税務署がつくるとは到底思えません。

 

じゃあ、出張手当を高額に設定して、宿泊費や移動代を精算しなければいいんじゃない?って質問もあるかもしれませんね。

 

例えば出張手当を一日7万円に設定して、実際かかった費用が4万円であったら、差額は節税になるよね?

 

その通りなんですが、「高額な出張手当」と税務署に認定されるリスクはあります。

 

リスクを承知のうえで、やりたいってことでありましたら止めることは出来ません。

 

出張手当として認められるのは、現地でかかった費用を精算した金額くらいでしょうか?なお、宿泊費・旅費を除く一日当たりの手当としては、全国の平均で4,000円~5,000円程度となります。

 

参考までに総理大臣の同金額は3,800円のようです。

 

仮に税務調査の際、出張手当が高額であると認定されたとして、何を基準にするかについては、上のような金額が参考になるかもしれません。

 

なお、高額であると認定された場合には、そのベースとの差額が法人の経費にならない可能性と、それに対する所得税と罰金の合計を支払わないといけません。

 

法人でも追徴課税を支払って、個人でも追徴課税を払う。税務署としては美味しい案件です。

 

出張手当って意外とリスクが大きいんです。

 

出張手当に関しては正直いろんな意見があると思います。

 

高額な出張手当を支給しようとしている方については、一度税理士と相談することをおススメします。

 

 

 

ネット記事や無料動画が自分に当てはまるかについて

 

本記事では、2つの具体例をもとにネット記事や無料動画の信憑性について解説してきました。

 

もちろん嘘はないかと思います。(その場合即削除されたりすると思うので)

 

ただし、その情報が自分に当てはまるかはよくよくご検討ください。

 

ネット記事や無料動画の中には

 

①特定の人にしか当てはまらないもの

②発信者や執筆者の個人的な考えが強いもの

 

も含まれています。

 

そのまま鵜吞みにして実行することで、後から逆に損をしたなんてケースもございます。

 

よく考えてください。

「会社を経営する」ということは、突き詰めると「人を幸せにする」ことです。

 

誰か困っている人を助けてあげたり、誰かの生活を便利にしたりして、誰かを幸せにして、その恩返し、対価としてお金を頂きます。

 

それなのに、自分の私腹を肥やすことばかり意識していたら?どう思いますか?

 

毎日考えていることはお客様のためになることではなく、自分の私腹のことばかりでも、うまくいくときもあるでしょう。

 

その人は長い期間、安心、安全に会社経営をすることができると思いますか?

 

困ったときに助けてくれる人は、どういう人でしょうか?

 

あなたは「自分の私腹を肥やすことが第一」の人と一緒に働きたいですか?その人の仕事を請けたいですか?

 

客観的に見れば、無理な節税や法を犯すような行為は、いずれ自分を苦しめることは理解できるかと思います。

 

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