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原因不明の体調不良に悩まされていた、みやび君。
銀行員から投資信託の提案があり、ワクワクがとまらない。仕事が忙しいわりにはお金が貯まらないという不満を解決してくれるかもしれないという期待が高鳴る。
そんな中、経営者である友人と食事を共にした。
経営者としては先輩の友人から、突き刺さるような言葉をもらい戸惑う。言い返したいが、正論すぎて言い返せなかった。
友人の言うことも分からないではないが、どうしていいのかわからない。自分の何が間違っていて、この先どうすればいいのかが分からない。
みやび君は、暗く、見えない道を進まなければいけない。
友人との食事を終え、帰宅した。
食事前はウキウキだったが、今は気持ちがあがらない。体に溶け込んだはずのアルコールも全て蒸発してしまったようだ。
気分をすっきりさせようと、すぐに風呂に入った。湯船につかりながら、物思いに老け込む。
もともと、独立、起業したきっかけは友人だった。焼き鳥屋だったか、久しぶりに会った友人は輝いていた。自分には輝いて見えた。互いに大学生の時に、起業することに憧れがあった。友人は起業して成功し、自分はしがないサラリーマン。
どこで何を間違ったんだろう、と思う日が続いていた。
それから、起業への想いが心の中を毎日駆け巡り、自分自身も起業することになった。
元来、仕事をすることは好きだから、長時間労働もそれほど苦にはならなかった。簡単にサラリーマンの時の年収を超えることができたが、金は残らないし、家族とも上手くいかなくなった。
上手くいっているはずなのに、上手くいっていない。自分でも理解しがたい日々も続いた。サラリーマンのルールと起業した人のルールは全く違っていることに気が付かなかった。
それから、自分の売りを発見し、売ることに成功した。マーケティングやセールスについて少しだけ理解することができた。
そして、ただただ仕事を繰り返すだけではダメだということを学んだ。税理士と顧問契約し、カネの流れを学んだ。税金のことや社会保険のことなど、今まで考えることのなかったことを知り始めた。
起業したら色んな法律にしばられていて、その法律を知らないと、損をすることもあれば危険にさらされることもある。あの時、税理士に出会っていなければ、今でも知らないままだっただろう。
沢山のことを経験し、学習していくことで、日常の生活も困らなくなったし、お金も流れていくようになった。そして意外なことに、家族との関係を見直す機会にも恵まれた。
順調にビジネスが推移しているように思えた。
色々な人が自分を頼りにしてくれ、仕事も増え続けた。人から頼りにされることに大きな喜びと感動があることを知る日々。しかし、自分の能力、時間を超えた仕事の依頼が舞い込む。それを返しきれないモヤモヤした日々。
それを解決すべく初めて人を採用した。初めての従業員。これも色々な人の助けを借りて、採用までこぎつけた。
このまま自分の会社も大きくなっていくはずだった。
ところが、そこから歯車が狂い始めた。
初めて採用した島田君が自分の想いとは逆の方向へ。これまでクレームなど受けたことがなかったのに、クレームを受けるようになった。
私がやれば簡単にできることも、島田君にはできない。
なぜできないかも理解ができない。普通に考えればできることばかり。丁寧に教えてみたり、教えるのを諦めてみたり、でも自分が頑張らなきゃ誰がやる!と心を奮い立たせたり、毎日揺れ動いた。
これまで感じたことのないような重苦しい日々が続いた。本当に苦しかった。
ところが、その苦しさは一瞬にして消え去った。
島田君が自分から辞めてくれた。辞めた当初は、その後始末に苦労したが、それも終わってしまえば、平穏な日々に戻った。気を遣う人がいなくなり、一人の自由な仕事に戻った。
おかしいのは、この後だ。
仕事が始まってしまえば、いつものように働けるのだが、仕事をしていない時間。その時間は気分が優れない。そして、その理由がわからない。
毎日、同じ歯車の中で回っているような感覚もあった。先が見えないし、見る勇気もない。
今が最高だという気持ちがあるが、本当に今のままでもいいのか、という全く違った感情が交差することもあった。何が起きても自分を正当化しているんじゃないかと自分が嫌になることもあれば、全ては自己責任だからこれでいい、と自分を納得させることもあった。
その苦しい中、銀行員から持ち掛けられた投資信託。
お金に働いてもらうという考え方は素敵だ。すべての問題が解決するように思えた。今でもその選択肢は間違っていないと思うし、良い選択だと思っている。
だけど、さっき友人から言われた言葉が忘れられない。「自分のビジネスから逃げている」 こんな風に考えたことなどなかった。もしかしたら、今、逃げているのかもしれない。そう思わざるを得なかった。
一通り過去を振り返っていると、胸が熱くなるのを感じ、様々な疑問が同時にわいてきた。
どうして、独立したんだろう?
何がしたかったんだろう?
今のままならサラリーマンと同じじゃないのか?
サラリーマンのほうが楽じゃないのか?
逃げるって何から逃げているのだ?
・・・
頭がはちきれそうだ。頭をシャンプーで洗った後、シャンプーをしたことを忘れ、シャンプーボトルをプシュプシュし、また洗い始めた。体も洗ったのか記憶がない。明日は仕事が休みだということも、タオルで体を拭いているときに気が付いた。
風呂からあがると、寝る準備をしている娘が走ってきて、いつものようにじゃれてくる。両手で抱き上げ、ぐるぐる回る。大爆笑の娘。疲れて倒れこむ、私と娘。そのまま布団で寝かしつける。
この環境に何の不満があるというのだ。十分幸せだし、この環境を壊したくない。そうはいえど、本当にこのままでいいのか。
また、振り出しに戻る。隣を見ると娘はスヤスヤと眠っている。
この日はYoutubeでくだらない動画を見ながら、眠りについた。
がんばれ!みやび君
起業に役立つ動画を定期的に配信しています。無料ですので、ぜひご覧ください。
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など
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起業して何が大変かって、すべてのことを自分で決める必要がある。
自分が決めた選択の結果を、全て自分が受け止める。
決めなければ、前には進めない。逆に、決めないことを決めることで、今と同じ場所に留まり、やがて衰退する。
上手くいっている時は、周りからの影響など蹴散らして、自分の思うがまま突き進む。そして結果をすぐに手にする。これが起業した後の、醍醐味の一つで、一生このまま進み続けられればとさえ思う。
しかし、現実は甘くない。
好調が続くことはなく、好不調の波を繰り返すのが通常。それが普通。
不調の時は、何をしても上手くいかないし、何かを決めることも怖くなる。それが良く分かっている起業家は、そういう時、一度クリアする、リセットすることを試みる。
リセットの仕方は様々。働き続けることで忘れる人もいるだろうが、仕事とは違うことをするのが良いと個人的には思う。
・食事
・旅行
・サウナ
・運動
・睡眠
・読書
・映画
普段しないことを日常に取り入れてみる。普段食べないようなものを食べるでもいいし、行ったことのない場所に行ってみるでもいい。方法はいくらでもある。
また起業家、経営者の中には、定期的に運動している人は多い。また他の人は睡眠時間を大事にする。中にはサウナにいくことでリフレッシュする人もいる。漫画を読んだり、映画を見ることでリフレッシュする人もいる。
良い精神状態でいられるように毎日のケアを怠らないし、意図的に仕事から離れるようにしている。なぜなら、仕事が終わった夜も、仕事が休みの休日も仕事のことが頭から離れない。考えたくなくても、考えてしまう。これが起業したということなのだ。
まるで仕事が脳を支配しているような感じだ。それだと、強い経営者といえど、耐えられない。一旦リセットする必要がある。
だから、意図的に仕事から離れる環境を作る。その方が仕事のパフォーマンスが良くなる。実践している人は分かってもらえるはず。
さて、仕事ができる時間が限られているし、忙しい経営者は時間が不足する。だから、働いている間は高いパフォーマンスを発揮することが求められる。「今日は調子が悪いなぁ」と言う日ももちろんあるだろうが、その日を減らすよう工夫しているもの。
また、経営者は毎日、様々な課題や問題にぶつかる。
困難なことを前に、精神面が病んでいては解決に向かうことができない。従業員が不安な中であっても、経営者は毅然と立ち振る舞うことも求められる。従業員を励まし、問題を解決する道筋を示し、安心させる必要がある。従業員と同じように塞ぎこんでいてはいけない。
このように経営者は常に良い状態で仕事に向き合うことが求められている。起業すれば自由に振舞えると思いきや、実は、自分を律し、感情をコントロールしなければいけない。決してわがままに振舞うだけでは、上手くいかないのだ。だから、常に自分に厳しくある必要がある。
そんなつもりで経営者になったのではない、と思う人もいるだろう。そう思うのは、あなただけじゃない。
成果を上げるためには必要なことだから、その能力を身に着けていくことになる。よく出来ている経営者は、仕事を楽しんでいるし、仕事以外の遊びも楽しんでいる。「全てを楽しめ!」をおっしゃる経営者もいる。
上手くいかないことも、上手くいくことも、全てを楽しむ。変化を楽しむ。未知のことを楽しむ。これにつきる。
あなたの周りで、忙しいはずなのに毎日楽しそうな人がいると思う。なぜ、楽しいか聞いてみたらいいと思う。
これは大事な考え方だが、自分の力では変えられないものは、流れに身を任せるしかないが、自分の力で変化を起こせることは起こしにいく。分けて考える必要がある。
自分の力で
変えられるのか
変えられないのか
この2つを混同して混乱するかもしれないが、冷静に見ていくと、自分の力で変えられないのに、深く悩んでいることがある。そこは悩み解決に向かうところじゃなくて、リフレッシュして流れに身を任せるところ。つまり仕事を楽しんだもの勝ちなのだ。
■過去記事
【第26話】みやび君、独りに戻って自由になったのか地獄に戻ったのか