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なぜ独立したのかを考える時間を持つみやび君。
学生時代からの憧れだったとはいえ、そこに明確な理由が見当たらない。結局友人との比較からでしか考えていないから、本当の答えなんて見つからない。
自分なりの答えを出して、自分を奮い立たせ、起業家としての生き方を貫く。これがあるべき姿だが、みやび君は他人との比較を通して自分を見ようとしている。
他を知ることは大事なことなのだが、現在のみやび君のような状態の時には「隣の芝生は青い」になる。
みやび君はこの窮地をどのように乗り越えるのか。
気分が上がらない。友人に相談しても、小太り君に相談しても、明確な理由が見えてこない。
妻に至っては「そんな時期もあるよ」と呑気な様子。
自分にとっては一大事。仕事に対して、モチベーションが上がらないことは今までもあったが、単に「疲れている」とか「嫌な現場」とか答えは明確だった。
それが、今は疲れていることもないし、現場も嫌じゃない。それどころか、睡眠はとれているし、休みもある。現場も嫌なところなどない。
にもかかわらず、やる気が上がらない。
客観的に自分を見つめられなくなっていることだけは明白だった。どうしようかと思ったが、いつも客観的に見てくれる税理士に相談することにした。いつもは妻も同席のもとで相談することが多かったが、今回は一人で行くことに決めた。
税理士に電話をかけ、アポどりをした。
税理士は「どうかされましたか?」と電話口で聞いてくれたが「電話だと説明しづらいので、会ってお話したいです」と、直接会うことにした。税理士は快く受けてくれて、一安心だ。
税理士と2人きりで相談。これまでの経緯を含めて、現在自分に起きている状況を説明した。税理士は口をはさむわけでもなく、顔を縦に振りながらよく聞いてくれた。
一通り話し終えた私は、何故かスッキリした気分だった。
税理士が一言「話し終えての気持ちはどうですか?」
その言葉に大学生の時、起業に憧れを抱いていた時の映像が浮かんできた。何故だか分からないが、鮮明に見えてきた。友人と2人でレモン缶チューハイを飲みながら、将来は社長になるんだ!って話をしている。
友人は、会社を大きくして、金持ちになりたい!と叫んでいる。それに私には「いいねーー!」と声をかけている。
友人は「お前はどうなりたい?」と聞いてくる。しかし、私は何も答えない。答えた記憶もない。だけど、大学生の私は別のことを話始めた。過去の自分は悲しい顔をしていた。
「俺の親父がさ、リストラにあってさ。長く勤めてきた会社から突然切れらたんだ。解雇っていうのかな?形式上は自主退職らしいけど解雇だよな。あの話をしている親父の顔は本当に悲しい顔をしていた。だから俺は絶対に自分の力で生きていけるようになりたい。そして親父と同じような境遇の人を生み出さないようにしたい!」
大学生の自分が話していた。
その瞬間、「は!」とした。
私の変化をくみ取った税理士は「何か思いつかれましたか?良ければ教えて頂けませんか?」と促されるまま、今見た映像を税理士に向けて話始めた。
話しているうちに、胸の中に熱いものを感じ始めていた。夢中で話をする私に税理士は時折笑顔を見せるものの真剣に聞いてくれた。一通り話し終えると税理士が話始めた。
「お父様の苦しむ姿を見て、起業することを決意されたのですね。そして、お父様と同じようなことを経験する人を減らしたいと。素敵な動機ですね」
自然と浮かんだ起業した動機。そして、それを目の前で認めてくれる人がいる。
自分の中に強い意志があることを感じた。今まで忘れていたのか、思い出さないようにしていたのかが分からない。でも、これが自分にとって一番大事な想いであることは分かる。
「差し支えない程度で構いませんが、お父様の話をもう少し教えて頂けますか?」と税理士は続ける。
私は当時の記憶を引っ張りだしてきた。忘れていた記憶。
・・・
父親は地元の大きな企業に高校卒業の後から勤めていた。真面目で他人想いの父は、上司や部下から好かれていた。上司と飲みに行くことも多かったと思う。帰ってきた後、母親に自分の自慢話をしているのを聞いた記憶がある。
だんだん、会社内での地位もあがり、多くの部下を持つようになっていた。時々、家で部下の相談に乗る姿も見ていた。部下から頼りにされていた。何人かの部下は仕事の相談だけではなく、プライベートの相談も親父にしていた。
自宅に若い人たちが来て、親父に相談している。そして、部下の人たちが子供の私と遊んでくれている映像が浮かんできた。野球盤のゲームをした記憶がよみがえる。楽しかった記憶。
人から慕われる親父は、私にとって自慢で大好きだった。
それがだ、親父の勤めている会社の業績が急激に悪化した時期があった。小さい頃の私は会社は従業員を守るものだと思っていた。しかし、それは違ったようだ。
記憶は曖昧だが、管理職から順番に早期退職を促された。実質のリストラ。後に母親から聞いた話では「給料が高くて、年齢が高い人から」みたいなことを言っていた。
私は自分の部屋から親父と母親が話しているのじっと見つめていた。いつもとは違う重たい雰囲気がリビングから感じ取られたから、何事かと思って覗きにいってしまった。
親父が「すまない」と肩を落としている姿は今でも鮮明に目に焼き付いている。母親は毅然とした態度で接していたが、動揺は隠しきれず体が震えていた。
退職金がどうとか、今後の生活がどうとか、2人で話し合っていた。
これから大変なことが起きる予感がした。
親父と母親は私に対してはいつもと変わりなく接してくれていたが、どことなく親父の元気がなくなっているのを感じ取っていた。
大きく見えていた親父が、小さく見えた瞬間だった。親父も悲しかっただろうが、子供の自分も悲しい気持ちになったことを覚えている。しばらく親父はふさぎ込んでいたが、ほどなくして知り合いの会社から誘いを受けて再就職が決まったようだ。
人望のあった親父のことだから、あっちこっちから声がかかっていたことは、後で母親から聞いていた。正義感の強い親父は、会社に自分の部下たちを残してきたことが、心残りだと常々言っていた。リストラの後、何度か部下が自宅を訪れてくることもあったが、時間が経つとそれもなくなった。
親父は寂しそうだった。「あいつら元気にやっているかな」と食卓で独り言のようにつぶやいていた。
そんなこんなで、私は大きな会社であろうと、従業員を切り捨ててしまうのだ、ということを学んだ。だから、私は一人でも強く生きていけるようになりたい、と思うようになった。
そして、親父をリストラした会社が憎かった。自分はあんな会社にはしたくない!力強い自分が見えた。
ところが大学3年生になり、就職活動が始まると、そんな想いは心の奥底へ仕舞ってしまった。そうしないと就職活動に支障をきたす。
自分の強い想いとは裏腹に現実は厳しいものだった。
友人と起業しよう!と盛り上がったことはウソのように私は就職活動に精を出した。そして、小太り君のところへ就職。そして今に至る。
色んな想いが私の中を駆け巡ってきた。ほんの一瞬の間だったと思うが、脳裏に浮かんだ映像は今の自分に多くのものをもたらしてくれた。
途中で税理士が口をはさんできた。「現在はお父様との関係はどうですか?」
「普通の父と子の関係です。正月とお盆くらいは孫を見せにいきますが、それ以外は積極的な交流はありません」
私は、また「は!」とした。
何故か、私は無性に親父に会いたくなった。いや、会うべきだと私の奥底にある隠れていた何かが知らせてくれたようだった。
がんばれ!みやび君
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起業するとモチベーションの維持、管理が必要になります。
自分から望んでした起業のはずなのに、モチベーションの高い状態が続くわけではない。まさに山あり谷あり。
お金がなくて、お金を稼ぐ!と勢いがあるときや「あいつを見返してる!」と強い動機が表に出ている時は良いが、ビジネスが落ち着いてきて、ずっと同じところをグルグル回っているような感覚になったとき、それは訪れる。
何となく仕事はまわっているし、特段困ったことはない。でも、空っぽに感じることがある。
妙なことに踏ん張りがきかなくなります。
これは、「起業、開業した動機が明確ではない」ことが理由と考えています。
起業する動機と言うのは、人によって違います。
■あいつを見返してやりたい
■お金持ちになりたい
■モテたい
・・・
みたいに、きれいではない自分目線の動機もあれば
■自分の商品で世の中を良くしたい
■困っている人を助けたい
■世界平和
・・・
など、綺麗ごとにさえ聞こえる他人目線の動機もあります。
起業する理由なんて、人それぞれで良いと思います。ただ、自分目線の動機の場合には、意外にも早く目標が達成されてしまうものです。
自分が満たされてしまっては、がんばる理由などなくなります。それでも、やり続ける人もいるようですが、稀でしょう。
人が大きく踏ん張れる時というのは「自分以外の誰かのため」に、という想いが強い時です。
大切な誰かのためには頑張れる、という感覚は分かりますよね。妻のために、夫のために、子供のために、親のために、友人のために、恋人のために。その人たちが喜ぶ姿を想像すると、力がわいてくる。
その一方で、自分のために、となると「この辺でいいか」なんて思うこともあるでしょう。
とにかく、起業した人は「自分以外の誰に貢献したいのか」、を考える必要があります。それは人でもいいですし、社会でもいいですし、会社でも、日本でも、世界でも何でも良いと思います。
心の底から大きな力が湧いてくる人やモノが対象になるでしょう。その対象のために、自分の持っているリソース、力を最大限に出して、良い影響を及ぼすことを決めるのです。
そして、それがやがて会社の経営理念と繋がっていきます。
ミッション、ビジョン、バリューなんて、かっこの良い言葉を聞いたことがあると思います。自分が起業した使命は何なのか?どんな自分になっているのか?自分が提供できる価値とは何なのか?
考えるのが恥ずかしくなるようなことを決めていく作業に入っていきます。
それらは、未来の自分にとても役に立ちます。困ったとき、迷った時に大きな見返りを与えてくれるものとなります。
それが、あなたが起業した原点、開業した理由、そして今後、ビジネスを続けていく動機になります。
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【第26話】みやび君、独りに戻って自由になったのか地獄に戻ったのか