税理士が嫌いな顧客TOP3

Q.税理士にも嫌なお客さんっているんですか?

A.います

 

税理士の仕事とは

 

一般的な税理士事務所の仕事は中小企業や不動産オーナーなどの資産家の税務顧問、個人事業主の確定申告、記帳代行や経理代行、相続税の申告など、多岐にわたります。

 

最近では業種や業務に特化した税理士事務所も数多くあります。

 

しかしながら、どのような税理士事務所でも基本的に毎日、忙しいでしょう(笑)

 

12月になると普段の仕事に加え、年末調整や法定調書、償却資産税の申告業務などが追加されます。年明けからは、年末調整・法定調書・償却資産税業務を引き続きこなし、個人の確定申告を迎えます。

 

この時期と言うのは顧問業務や記帳代行の毎月提携の業務の他に、追加で仕事が増えるので、業務量が半端なく増加します。

 

この繁忙期は深夜になるまで、税理士事務所の電気がついていることもあるでしょう。

 

では、このような税理士事務所にとって、嫌な客とはどのような人なのか。1位から3位まで解説していきます。

 

 

1位 脱税志向の強い人

 

税理士であれば誰もが嫌がる人です。

 

不正をすることが前提の考え方を持っているため、そもそも税理士の顧客とはなり得ません。

 

この世の中は面白いもので、不正をすることが当たり前の人もいるのです。具体的にどのような人か解説していきます。

 

我々、税理士はお客様の代わりに、税金の計算をします。

 

法人税や所得税は申告納税方式というやり方のため「自分で」税金を計算して納税する必要があります。しかし、一般の人にとって税金の計算をすることは難しいです。

 

さぁ、法人税を計算して!

さぁ、所得税を計算して!

 

と言われても、チンプンカンプンかと思います。「分からないから税理士に頼む」という具合です。

 

もちろん、税金の計算は税理士に依頼する理由の一つに過ぎませんが、大きな理由の一つでもあります。

 

さて、納税は国民の義務なわけですが、がんばって儲けたお金が税金で消えていくのは、辛いものです。サラリーマンの人は源泉徴収と言われる(納税意識を薄れさせる)制度があるため、いくら税金を払っているかを知らない人も多いと思います。

 

しかし、起業した人は自分で税金を計算して、納めることになりますから、納税額をダイレクトに感じることになります。

 

個人事業者の場合は、課税所得金額が900万円を超えてきた当たりの所得からは税率が50%近くになります。所得税と住民税と事業税を考慮しての税率です。

 

出た利益(所得)に対して半分近くが税金で消えていくとしたら、どんな気持ちになりますか?払わなくて良いなら払いたくない、と思うのが一般的な感情かと思います。

 

この納める税金を減らすために節税策を考えて、実施していくことになります。これは顧問税理士がいれば税理士と一緒に考えて実行していきます。

 

それだけでは我慢できず、脱税をしたい欲求にかられる人もいます。そして、それを税理士に強要してきます。

 

税理士は脱税相談に乗ったり、脱税指南したりすると、懲戒処分を受けます。法律に違反することをすると罰を受けるのは当然です。

 

脱税の方法は簡単です。大別すると収入を誤魔化すか、支出を誤魔化すかの2パターンです。

 

■売上を除外する

■架空の経費を計上する

 

簡単です。売上を売上として申告しない、経費をでっちあげることで、脱税をすることが出来ます。

 

税金を払いたくない気持ちはよく分かりますし、それを何とかしたいと税理士も常々思っていますが、脱税を斡旋したいと思っている税理士なんていません。いるかもしれませんが、その人は近いうちに税理士とは名乗れなくなるでしょう。

 

税理士であれば、同じ納税者として何としてでも税金を減らしたいという気持ちも良く分かります。

 

しかし、法律を守らないわけにはいかないです。

 

例えば、自分の子供が横断歩道を赤信号なのに渡ろうとしていたら、どうしますか?

 

「渡ってもいいよ」

「気を付けて渡ってね」

 

と声をかけるでしょうか?違いますよね。

 

「渡るな!」が正解ですよね。

 

赤信号なのに渡ると、トラックとぶつかるかもしれない。バイクとぶつかるかもしれない。危険が予想されますから、親としては当然に止めます。必死になって止めるでしょう。人によっては厳しく叱ることも想像されます。

 

私たち税理士はその親と似たような気持ちで「やめましょう」と言います。

 

横断歩道の例でいえば、赤信号で渡っても、車がこなくて「今回は」危険じゃないかもしれない。脱税をしても「今回は」見つからないかもしれない。

 

しかし、万が一、100回に1回、車が来たとしたら?取り返しのつかないことになります。

 

税理士の元には脱税をした後、税務調査が入り、コテンパンにやられた人たちからの相談もきます。悲惨ですよ。

 

万が一の時に取り返しのつかないダメージを受けると、そこでビジネスは一瞬でとまってしまうかもしれません。長い時間をかけて築き上げてきたビジネスが一瞬で消え去ります。

 

私たち税理士は、そうなって欲しくないと思っています。

 

しかしながら、「他の人はやっている」「節税コンサルタントにすすめられた」などと聞くことも、あります。

 

・・・

みんなでやれば怖くない理論

偽物に言われたことが何故か正しい理論

・・・

 

ですね(笑)

 

納税者の自由ですので、危ない橋を渡りたければ渡ればいいですが、「他の人はやっている」と言っている人は無責任に発言しているだけですし、「節税コンサルタント」に至っては自分の商品を売ったら、さようなら出来る程度の人かもしれません。

 

最終的にその人たちがいう言葉知っていますか?「税理士に聞いてください」ですよ。

 

間違いだと認識しているけど、責任逃れするための言葉が「税理士に聞いてください」

 

その程度の覚悟しかない人の言葉を鵜呑みにして脱税を繰り返すのであれば、どうごご自由に。

 

 

2位 ルーズな人

 

ルーズな人は税理士業に関わらず、全ての業種から嫌われているかもしれません。また、これは顧客に対しても言えるし、従業員に対しても言えることですね。

 

・・・

■税理士の仕事は毎月、法人の申告期限を迎えます。

■源泉所得税の納付は毎月、または半年に1度の頻度。

■年末調整や法定調書の期限もある。

■償却資産税の申告期限もある。

■3月15日はいわずとしれた個人の確定申告の期限になります。

・・・

 

法律で定められた期限以外に「10日まで試算表の作成」、「給与明細は振込の5日前まで」など、顧問先固有の期限も存在します。

 

我々税理士は毎日のように期限に追われています。

 

さて、税理士の仕事の多くは、顧問先から資料と情報の提供がなければ仕事が進みません。

 

簡単な話です。売上はいくらか?給料はいくらか?の情報を知るためには、顧問先からの情報提供がなければ分かりません。

 

逆に言えば、顧問先から資料提供があった時、情報提供があった時から、仕事がスタートするのです。それまでは待つしかありません。

 

顧問先からの提供があってからスタート。そして、期限が決まっている。

 

ということは、期限の3日前に提供があった場合は、どうしますか?その仕事が1週間かかる仕事だとしたら?

 

確実に税理士事務所側の誰かが残業しますね。帰宅は午前になるでしょう。

 

その職員はその後、どういう気持ちになると思いますか?喜んで残業しますか?家族や自分の時間を犠牲にして喜ぶと思いますか?

 

義務感で仕事をして疲弊した後に思うことは「辞めたい」です。

 

また、税理士事務所側からすると残業代が発生しますから、採算が悪くなります。悪い場合は、人件費だけで赤字ってこともありえます。

 

赤字の顧問先なので、値上げか解約を考えます。そのどちらもしない税理士事務所では定期的に職員が退職していることと想像できます。

 

そして、更に考えていくと、期限の3日前に提供があった人を優先するあまり、他の大事な顧問先の仕事が後回しになります。そして、大事な顧問先の不満につながります。

 

ルーズな顧問先を優先して、優良な顧問先からクレームがあがるなんて、馬鹿げています。資料提供をしっかりしてくれる顧問先を最優先でやることが当たり前だと思いますが、期限があるため優先順位が逆になることは日常茶飯事。

 

良いことなんて何もないんです。

 

職員は残業を強いられ、辞めたくなるし、採算は悪いし、大事な顧問先を後回しにしてしまう。

 

だから、ルーズな顧問先というのは、税理士事務所からは嫌われているでしょう。

 

もちろん、忙しい時もあるし、偶々遅れることもあるし、事情があることは、重々理解しているので、問題はありませんが、終始ルーズな人は、確実に嫌われているでしょう。

 

 

3位 金払いの悪い人

 

これもどの業界でも同じですが、金払いの悪い人は嫌われているでしょう。

 

税理士の仕事をしてきて、不思議なのは、多くの人は知識サービスに対してお金を払うことをしない、ということです。

 

飲食店で「お腹すいている。お金がないから無料で食わせて」

美容室で「髪がちょっと伸びた。ちょっと切るだけだから無料で切って」

 

とは言わないでしょう。

 

でも、税理士事務所では「無料で教えて」はよくあることです。減るもんじゃないし、という考え方なのでしょうが、税理士は作業で商売をしているわけではなく、これまで蓄積した経験や知恵、知識を売っています。

 

それに敬意を払われるどころか「それ以上は有料になります」というと怒りだす人もいます。多くの税理士が経験していることでしょう。

 

また「作業は自分でやるから安くして」というのも、よく聞きます。別の記事でも書いていますが、作業をやったからと言って、安くなるわけではありません。

 

システムエンジニアに「自分でプログラム組んでソフト作ったので、これでバグがないか確認してもらえますか?格安で!」

建築屋に「自分で材料用意して家建ててみたんだけど、地震が来ても大丈夫か確認してもらえますか?格安で!」

 

と言うことは、おかしいことだと思いませんか?

 

税理士の場合も「自分で会計ソフト入力したから、大丈夫か見てくれますか?格安で!」

 

と言われることが多いです。安くなるわけがありません。逆に高くなります。

 

下記の記事を参考にしてください。

https://miyabi-z.jp/article/3186

 

我々、税理士の仕事は会計ソフトに正確に打ち込まれた後から仕事が始まります。その打ち込まれたデータが間違いだらけだと、そもそも判断ができません。だから、間違いだらけのデータを作られても迷惑なだけです。

 

しかし、「苦労して入力したから、その苦労の分は安くなって当然!」と考えられるようですね。気持ちは分かりますが、間違ったものを直すより一から作ったほうが早いんですよ。

 

申し訳ないのですが、無駄な苦労を押し付けられても困ります。あなたも何かのプロとして仕事しているなら、よく分かるでしょう。

 

また、必要以上に値切ってくる人もいます。

 

交渉事として値切る行為は全然良いと思いますが「ここまで安くすれば契約してやる」みたいな横柄な人がいます。どうして、そんな上から目線なのでしょうか。

 

税理士側にも顧客を選ぶ権利があります。

 

逆の立場だったらどう思いますか?「俺の言う通りに価格を下げたら契約してやる」と言われたら、どう思いますか?

 

やる気がなくなりませんか?その人の力になりたいと思いますか?

 

なりませんよね。お金に困っていなければ、契約しないだろうし、困っていれば契約して、ほとぼりが冷めたら、解約の方向へ動くと思います。

 

中には、今より安い税理士を探し求めて、毎年税理士を変えるような人もいると耳にしました。

 

きっと、その方は今後、ビジネスで儲けることは難しいでしょうね。

 

最後に、税理士事務所の不思議ですが、滞納が長く続いているのにサービス提供を続ける事例があります。これは税理士事務所の構造的な問題でもあります。

 

サービス提供を受けている側も無料でサービスを受け続けることに慣れてしまっていて、不思議な関係が築かれます。

 

税理士事務所は企業から毎月顧問料を頂き企業のサポートを行います。そして税理士が行う業務には常に期限がつきまといます。お金が払われなかったら、期限を守らない!なんて出来ないわけです。

 

そして、お金を払わない人に対してサービス提供を続けるということが起きてしまうわけです。

 

税理士の中にはお金を頂かなくても仕事しろ!と考える人が一定数いるようですが、その顧問先を担当する職員からすれば良い迷惑です。

 

どれだけ一生懸命やってもお金がもらえない以上、自分の待遇は上がらないわけです。やる気なんて起きるわけがありません。

 

そして誰も幸せにならない結果が待ち受けています。

 

 

嫌な顧問先とさようなら

 

このように税理士事務所には敬遠したい顧客像というものがあります。

 

税理士というのは一度顧問契約を結ぶと、その企業とは長い付き合いになることが多いです。どちらかが仕事をやめるか、亡くなるか、まで関係が続くことも。

 

しかし、税理士事務所側から契約の解除を申し出されることもあるでしょう。

 

特に最近はそれが顕著に表れてきていると想像します。

 

その理由を考えてみます。

 

ひと昔の税理士事務所では、職員が残業するのは当たり前。残業代が支給されないことも当然のようにあった。

 

つまり、税理士事務所側の経営の観点から言えば、職員は使い放題だったわけです。

 

税理士は顧問料と言う仕組みを早く取り入れ、サブスクビジネスの最先端を行っていたわけですが、そのしわ寄せとして職員使い放題という悪のサブスクプランも生み出されてしまったのです。

 

例え、誰かが辞めたとしても求人を出せば、すぐに次の人材が見つかった。税理士志望者も多かったから、優秀な人でも採用することが出来た。

 

だから、多少、難のある顧問先であっても対応することが出来た。

 

それは職員が我慢すれば良かったからです。給料が払われなくても従順に従う職員がいてくれたらから成り立っていました。

 

考えればわかりますよね。

・・・

■仕事したのに顧問先からはお金がもらえなかったら、どこから給料の原資が出るのでしょうか?

■深夜残業しても残業代が支給されないとすれば、ルーズな顧客にも対応可能ですよね?期限3日前にもってきても事務所の運営としては困らないですよね?

・・・

 

しかし、時代は変わりました。

 

残業は良くないという風潮になり、もちろん残業代が支給されないとブラック企業認定。そこに来て、税理士を目指す人は右肩下がり。

 

SNS等で税理士事務所のブラックな部分が明るみに出て、新しい人を採用しようにも採用難。

 

だから税理士事務所側としては残業をなくす方向で考えているはずです。深夜残業をしないと回らない業務体制では人は辞める。辞めても新しい人の採用が出来ない。

 

税理士事務所もようやくこれではいけないと気が付き始めていると思います。

 

そして、問題の所在を見ると、上記のような顧客を何とかしなければいけないと気がつき始めた、ということです。

 

無理難題を言ってくる人、職員をこき使おうとする人、脱税を強要してくる人、とにかく値切ろうとする人達と、付き合う余裕がなくなってきたのが事実。

 

ある意味、正常に戻ってきたと私は考えています。

 

そして税理士側も顧客を選び始めています。一人のヤバい客がいると、どうなるか?怖くて考えるだけでもぞっとします。

 

それもあってか、良い税理士が見つからなくて困っている人も多く存在するようです。

 

個人の確定申告時期では、税理士を探そうにも見つからない!なんて経験をされた人もいるでしょう。

 

事務所が出来る仕事量を超えてまで確定申告を受注する理由がなくなった税理士事務所は「今年の確定申告の受付は締め切りました」と言うでしょう。

 

それは事務所を守るため、そして職員を守るためです。それが既存の顧問先への安定したサービス提供への繋がっていきます。

 

逆に言えば、しっかりした顧問先へはサービス提供の質があがっていくことも想定されます。多くの時間を問題のある顧問先に使っていたことがなくなれば、当然余裕が生まれますから。

 


 

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